今日の漢字1048は「商」。定番商品の小説だけではつならない
今日の漢字は「商」。商店、商売、豪商、外商、士農工商、浪商。
定番商品というのがある。○○といえば、○○というもの。コーラといえば(ペプシコーラ)ではなく、コカ・コーラ。ポテチといえば(湖池屋)ではなく、カルビー。ポッキーといえばグリコなど。ブランドイメージが出来上がっていて、二番手、三番手企業は苦戦を強いられる。
そんな定番商品には小説の世界も当てはまる。いわばベストセラー作家は、書籍の世界の定番商品といえる。最近では東野圭吾、池井戸潤、湊かなえ、柚月裕子、今野敏、恩田陸、大御所の村上春樹。黒牢城の米澤穂信も最近定番化。出せばそこそこ売れるから、各出版社もその先生の作品を競って出す傾向にある。
脳を刺激させ、日々の生活を充実させる方法に、初体験ネタを取り込んだ方がいいという話を以前したが、読書の世界も同じ。それは初体験の作家の小説を読むこと。定番の人気作家は外れがなく、そこそこ面白いが、予定調和のマンネリ感もある。そこで私は、さまざまな作家先生の小説にトライしている。
作家によって何か特別な作風や個性に違いがあるかと聞かれても、明確な答えはないが、ときたま、偶然の本との出会いで「ヒット」するものもある。逆にアマゾンレビューの高評価で期待して読んだが、自分には合わず「失敗だった」ものもある。何万冊という玉石混交の書籍の海に飛び込んで、「これは」という原石に巡り会う瞬間も格別であり、その打率をいかに上げていくか。そこに読書の醍醐味があるし、たかだか1000円程度で感動が得られるならば、これほどコスパのいいものはない。しかもSNSと違って能動的に「読む」行為が中心となるから、脳への刺激という点でも優れている。
最近私が行った初トライ作家、佐藤多佳子「一瞬の風になれ」、垣谷美雨「定年オヤジ改造計画」は面白く読めた反面、今更ながらにして初挑戦の伊坂幸太郎「ホワイトラビット」、夢枕獏「エヴェレスト」は個人的には今ひとつであった。
このように成功、失敗があるにしても、初めて出会う作家の作品は、ワクワク感があり、私はその作品の1ページ目をめくる瞬間が好きである。そうして日々読書を進めることも、なにげない毎日の暮らしにちょっとしたスパイスを加えている。
だから結論は、好き嫌いせず、食わず嫌いにならず、いろいろな本にチャレンジして、自分なりの「知の宝探し」をしてみるのも面白いと思うのである。