笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字495は「場」。北海道の地場企業セコマは元気だ

今日の漢字は「場」。場所、場合、役場、牧場、運動場、本場、場面。

 

    セイコーマート、通称セコマという北海道地場のコンビニエンスストアがある。

 

    日本のコンビニは、セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートの3強で、3社で全国シェアの9割を占める。

 

    ほぼ北海道が主戦場のセコマは全店舗1200店舗中、北海道が1100店舗。他は埼玉と茨城に計100店舗。道内のセブンの店舗数が約1000店舗だからセブンよりも多く、独自の戦略で差別化し、北海道民の支持を得ている。

 

    その一つが出店戦略。

 

    北海道179市町村のうち、セコマが出店していない市町村は4つのみ。少子化・過疎化が進むなか、地域の消費を支えようと、過疎の町の店舗でも何とか黒字になるよう、工夫して運営している。

 

    日本海側の留萌管内初山別村という人口1200人の小さな村がある。

 

   ここにセコマが出店した。

 

    商圏的には厳しいが、村にはスーパーマーケットもコンビニも無く、買い物難民化した地域からの、「我が村にもコンビニを」との願いに応え、オープンした。セコマの丸谷社長のインタビューによると、月商は30万そこそこというが、村から貸りる土地の賃借料も月3万円と破格の協力もあり、収支はトントンのようである。

 

    また、独自ブランドとして商品開発にも力を入れる。

 

    夕張メロンソフトというのがある。オレンジ色をしたまさにメロン味のソフトクリーム。実は夕張メロンは一大ブランドとして本州方面に出荷されるが、中には傷もので出荷出来ないメロンが沢山ある。メロン農家から「何とかできないか」の相談を受けたセコマは、傷物のメロンを使ったアイスの商品化に成功。本来は捨てる運命のあったメロンを有効活用し、メロン農家から感謝されるとともに、店の売り上げに大きく貢献しているという。

 

    商品もなるべく北海道産を使う取り組みを進めていて、牛乳は道北の豊富町に自前の工場を持ち、豊富牛乳ブランドとして販売している。

 

   コンビニ満足度ランキングというものがある。

 

    セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート、セコマ、ミニストップデイリーヤマザキ、NEW DAYSの7社に対し、

顧客期待、顧客満足、知覚価値、知覚品質、推奨意向、ロイヤリティの各項目で競うものだが、何とセコマが全ての項目で一位を獲得。トータル一位は4年連続という。

 

    確かにセコマは惣菜類のコスパがいいのと、カツ丼や豚丼など、店内で調理した暖かい弁当が食べられる「ホットシェフ」なるものが存在し、結構利用している。大手にはない、作りたての丼ものが味わえる。顧客満足につながる取り組みだ。

 

    あとは営業時間の臨機応変さがある。地方に行くと当然のようにセコマは深夜は閉店している。

 

    私が以前いたとある町のセコマは深夜0時から朝5時まで閉まっていた。お客が来ないから当然であるが、経営の自由度を感じる。正月も普通に休む店舗が多いという。そうした自由度がコンビニで働く側にとっても精神的にいいのであろう。

 

    セブンイレブンの弁当廃棄や24時間営業でのオーナーとの対立などでコンビニのイメージも大きくダウンしているが、独自の経営で地域の支持を得るセコマの成功は「資本力やブランドに劣る地場の会社が知恵と工夫で地域の賛同を得て、地域と共存し、お役に立っている」という典型例として見習うべき点が多々あると思う。

 

    どの業界も大手の黒船に駆逐、蹂躙され倒産や吸収合併の憂き目を見る中小の老舗企業が多いが、セコマには池井戸潤の小説のように大手に果敢に立ち向かってもらい、末永く道民に愛される地場企業であってほしいと思う。

f:id:laughing-egao:20200910211743j:plain

場外ホームランは度肝を抜く