笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字1028は「抽」。具体思考と抽象思考を繰り返そう

今日の漢字は「抽」。抽選、抽出。

 

 細谷功「やわらかい頭の使い方」のなかで、具体と抽象を繰り返して思考することが、頭を柔らかくするという。

 

 具体的表現とは、いつ、どこで、誰が、どようにというように、5W2Hで述べること。「友人と3人で、お昼に会社の近くの中華料理屋で、600円のチャーハンを食べた」のケース。この具体的事象を抽象表現すると、「お昼を食べた」となる。具体的事象を「要するにどうだったのか」を要約するとこうなる。

 

 具体的な表現がいいのは、目に見えて直接的であることと、誰にでもわかりやすいことがある。また、個人の体験談は一般化した理論よりも「感動を与える」「感情に訴える」ことができる。

 一方、抽象化がいいのは、共通点を持つ複数のものを同時に扱うことで「応用が効く」点がある。また、「解釈の自由度が高い」。例えばAさんを映画に誘った際、Aさんは「ちょっと用事がある」と抽象的に答える。誘ったBさんは「それはデートかもしれないし、親の見舞いかもしれない。ひょっとしたら、私と行きたくない口実かもしれない」として、いろいろな解釈が成り立つ。ただし抽象表現は、得てしてわかりずらい。哲学書などは抽象表現が多く、読むのにしんどいと同じことである。

 

 しかし、抽象化は便利な概念なため、具体的な言葉を省略して抽象的なことばかり言う癖が身についてしまうと、何かの際に説明する際、「君の説明はよくわからない」と言われてしまう。

 

 だから著者は「具体的な事象を抽象化すること、また、それを再度復元して具体的課題に当てはめるという、具体と抽象の往復」が重要な要素だと主張する。

 

 具体→抽象→具体であてはめてみよう。

 先日、私がオンライン読書会で紹介した小説に、「無人島で生きる16人」がある。これを具体的に説明すると、「明治期に航海に出た日本の船が挫傷。無人島に辿りついた16人の船員が、規律を守りつつ、魚やウミガメやアホウドリを食べながら皆で励まし合い、13ケ月にわたり生活。無事日本の船に発見され、祖国に帰ることができた物語」。

 ではこれを抽象的に「要するに何」でとらえると、「16人の日本人の船乗りが一人も死なずに生還できたサバイバル物語」で抽象化。

 

 さらにこれを具体的化で言うと、「無人島でも好奇心を失わず、知恵と工夫で水や食料を確保し、島にいたアザラシと遊び、16人が集団の掟を守り、一致団結して生活。最後は付近を通りかかった船に奇跡的に助けられた。」

 そしてまた最後に抽象で締めくくると、「団結した16人の奇跡の生還物語」となる。

 

 このように具体→抽象→具体→抽象を繰り返すことで、頭がやわらかく鍛えられる。

 

 いずれにしても結論は、日々の生活の中でどちらか一方に偏らないことが大事で、具体的思考、抽象的思考を意識的にしてみるのが、訓練としていいのである。

 

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