笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字686は「考」。高齢化対応のマニュアルを考える

今日の漢字は「考」。思考、考案、参考、選考。

    漫画家のやなせたかし氏曰く「80歳を過ぎると、人生のマニュアルがない」という言葉を聞いて、しみじみ高齢化社会の対応はまだまだ考えるべきことが多いということを改めて実感する。

 

   その理由は、紛れもなく認知症。と言っても、認知症ではなく、妄想癖。親戚の80代高齢の女性は認知症ではなく、妄想失調症と診察された。ボケているとか、忘れっぽいとか徘徊するとか、そういう認知症の症状ではなく、脳的には全く問題ないのだが、とにかく突拍子もないことを妄想する。特に夫に対する不倫疑惑をでっちあげ、罵る一方だという。80代の男性が「今更浮気か」との疑問しか湧かないが、夫が浮気していることを頑として否定せず、その状態はエスカレートする一方。病院の先生も、高齢者の妄想失調症では薬で治す方法もなく、悪くなる一方として匙を投げる。そうなると夫婦生活も破綻するから、どちらかが施設に入るなどの別居生活が必要なのだろう。

 

   知人によると、妄想癖にはネガティブ型とポジティブ型があるらしく、ネガティブ型は攻撃性が強く、夫の浮気を疑うようなことらしい。認知症なら病院や施設行きという対処方法もあるが、脳は正常だというから、厄介なのである。

 

   そのように、もうどう対処して良いかわからないことが、これからどんどん増えていく。認知症の対応もそうだが、介護福祉施設のお世話になるにしても、この場合はこうなるという明確なマニュアルがないから、いろいろな対応方針を医者、介護施設、親戚家族が考え、話し合って決めていかねばならない。

 

   やなせ氏が言うように、自分のみならず、家族にとってもマニュアル的な対応ができないのはつらいと思う。

 

   マニュアルという点でいけば、子供を育てる教育は、長い歴史の中で、おおむね形がつくられてきた。明治以前は、寺子屋で学ぶ、丁稚奉公に出す、明治以降は、国をあげて教育を進め、中学、高校を出て働く、もしくは大学進学して働くなど、教育という点ではほぼマニュアル対応ができてきた。しかし高齢化対応は、ここ20年くらいの急激な高齢化に伴い、うまくできていない。長生きすることはいいことである反面、いろいろな問題を抱えているのである。

 

   やなせ氏の言葉には続きがある「毎日、見ること聞くこと、やることなすこと、すべてが未知の世界の冒険旅行」だという。そして「だから80歳だから老人らしくの価値観というのはクソくらえ。いい年だからこそ、やりたいことをやろう」と述べている。これくらい元気な老人がいれば、日本にも活気が出るだろうが、80歳を超えると、体や脳にガタがくる。歳の取り方も人それぞれだから、若者の教育とはわけが違う。まさにマニュアルのない、未知の世界が80歳を超えると待ち受けているのであり、人それぞれの生き方のパターンを学習し、思考停止に陥らないよう、ある程度マニュアル的な対応がとれるようになるのは、まだまだ先だと思うのである。

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新しいことを考案したい