笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字982は「却」。忘却の彼方に追いやるのを防ぐカレンダー記事

今日の漢字は「却」。退却、却下、焼却、返却、棄却。

 

 よく新聞やテレビの報道で、「☓☓事件から◯年」とか、「あれから◯年」という記事やニュースをみかける。これをマスコミ関係用語で属に「カレンダー記事」とか、「あれから◯年もの」という。

 

 先日も1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災から27年」の記事が掲載されていた。人間は忘れやすい存在だから、こうしてカレンダー記事が出ると、「ああ、あれから◯年たったか」と思い出す。

 

 終戦記念日や広島・長崎で原爆が投下された日、最近では9,11同時多発テロ東日本大震災御嶽山の噴火など、多くの死者が出た事件は、カレンダー記事のネタとなる。人間の記憶を風化させない、いわゆる「忘却の彼方に追いやらない」観点から、カレンダー記事は、読者に思い出させるという点で一定の役割を担っている。ただ、私の高校の同級生の新聞記者に言わせると、「紙面が簡単に埋まることや、予定原稿を準備しやすいのと、毎年やっているとフォーマットが決まっているから、記事を書くのが楽なのだ」とか。

 

 新聞は「明日の朝刊で掲載する記事がない」と、空白で新聞を出すわけにいかないから、「カレンダー記事」は、都合よく紙面を埋めれれるメリットがあるようだ。

 

 しかし、ときたま見かける記事で、「◯◯殺人から1ケ月」がある。地下鉄サリン事件のように、多くの人が殺される凄惨な殺人事件でも、1ケ月も経つと忘れ去られるから記事にするが、1ケ月で区切る根拠がわからない。人の記憶を日にちやカレンダーで区切るようで、機械的だと思う。実際に被害に遭われた方や遺族などは、その事件を決して忘れることはできない。どうも第三者目線というか、人の傷口に塩を塗っているように映るが、考えすぎだろうか。

 

 また、「〇〇から5年」とか「10年」とかの区切りだったら、「あーあれから10年か」と思うが、「〇〇から7年」とか、「〇〇から27年」と言われてもピンと来ない。その時間軸が何とも中途半端で、「おい、あれから27年経ったぞ。そのことをこの記事で思い出させてやる」というマスコミの押し付けの情報提供のような気がする。7年や27年の違いがどこにあるのか、その意味を新聞社に聞いてみたい。

 

 いい記憶も悪い記憶も、眠っていた記憶を呼び起こしてくれるマスコミの存在はありがたいのだが、マスコミの都合や押し付けで一方的に情報を押し付けられても鼻白む自分なのである。

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提案を却下されると腹が立つ