笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字839は「省」。日本の省略式コミュニケーションは危ない

今日の漢字は「省」。反省、帰省、省エネ、財務省四川省

 

    日本人は言葉を省略するのが好きな国民だと思う。

    笑ったのが、今更ながら変だと思う「ドタキャン」。ほとんどの人が当たり前に使っている言葉だが、語源を正せば「土壇場のキャンセル」。日本語と外来語が合わさって、さらに短縮されるという高度な言葉遊びが、普通名詞として使われていることに驚きを感じる。

 

    短縮、省略される言葉は大抵が3文字が4文字。スマホ、スタバ、マック、マクドミスド、ケンタ、セブン、時短、ラブホに始まり、ファミマ、ファミレス、プレステ、プリクラ、ガラケー、キムタク、ハセキョー、アオガク、アニソン、メルマガ、マンキツ、再エネ、パワハラ、カスハラ、セカチュウー、イクメンマンU。もう玉石混交状態。どれだけ省略、短縮するのかと呆れてしまう。

 

    しかし、これは、日本がハイコンテクストな国で、一を言えば十を知るくらい、同質なコミュニケーションがとれる社会の前提があってからこそ。多国籍な人々が集まる国では、こうしたコミュニケーションは成立しない。

「DO YOU HAVE スマホ?」と外国人に問いかけても、外国人は?となる。

「SHALL WE GO スタバ?」も同様。スナバ?フタバ?と聞き返されること必至。

逆に固有名詞はしっかりと発音しないと、先方も聞き取れないし、意味を理解できない。だから省略したりはしない。

 

    逆に言えば、日本でしか通用しない言葉を何の疑念抱かずに平気で使っていることに、日本社会がいかに閉鎖的で排他的かが言語の使い方という点でよくわかる。

    言語というコミュニケーションを通じてお互いを知ろうとする国と、人間の上下関係や出身、所属、縁故、まわりに雰囲気や時間軸を把握した上でお互いを知ろうとする国で、国際化がどんどん進む時代において、将来的にどちらが主流となるかは明らかである。言語の省略文化を良しとする社会では、これからの国際化社会に太刀打ちできるはずがない。自分の言いたいことが相手に伝わるよう、きちんと表現する能力がどんどん退化していくような気がする。

 

   これにはマスコミの影響も大きい。新聞などは記事数が限られているから、少ない文字数で多くの情報を伝えるために、省略作法はうってつけである。見出しでもわかりやすく、かつセンセーショナルに打てる。京都アニメーションで悲惨な事件が起きた時も、新聞見出しは「京アニ」と書いた。これを見て私ははっきり言って「へど」がでそうになった。安易に会社名を省略するな、失礼ではないかと憤った。

   

    何でもかんでも省略してコミュニケーションを円滑にという姿勢は、いつかは変えていかないと危ない。この傾向が続けば、日本式コミュニケーションが世界のガラパゴスとなることを懸念している。

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内省することは大事