笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字929は「親」。親ガチャの原因は、親の権威の失墜か

今日の漢字は「親」。親族、近親、懇親会、親指、親会社。

 

   育児や家族の問題やあり方を鋭い切り口で指摘する金子耕弐氏のラジオ番組「ファミリートーク」。同氏の著書「いま子育てに必要なこと」を購入して読んだ。

 前回掲載はこちら

 

laughing-egao.hatenablog.com

 

   子育てに大事なことは3つ。「時間と感動の共有」「愛」「親の権威」。今回は、「親の権威」。

    家庭において、親を尊敬し、親に素直に従うことを教えられていない子供たちは、自分の親だけではなく、他の大人たちにも従うことができない。「学級崩壊」は、突然学校で起こるものではなく、家庭内で親の権威に従うことを教えてこられなかった子供たちが、学校でも先生の権威を認めることができない。そしてそのような子供たちは、やがて学校や社会を混乱に陥れる。

 

   今、多くの専門家は、子供の個性を尊重して伸び伸びと育てれば良いと主帳したり、最近の親は友達みたいな対等な親子関係を望む風潮がある。

 

    金子氏はこうした傾向に警鐘を鳴らす。子供のさまざまな欲求に対し、親が毅然とした態度で接し、時には子供の思い通りにいかないことを、きちんと教えていかなければならない。そうしないと、子供は何でも思い通りになると勘違いし、親を尊敬せず、親の言うことを聞かないままに傍若無人にふるまうことになる。「子供は放っておいても立派に成長する」は大きな誤りである。

 

   親は親の権威を示し、子供から尊敬され、信頼されるリーダーでなければならないのである。

    時には子供に厳しく接することで、子供はなぜ親が厳しく接するのかを理解し、やがて従うようになる。子供がひきこもりになるのも、親が子供のいいなりになっていたり、子供の生活態度に対して親が口を出せない(キレられる)のが原因のひとつ。親の権威に子供が従っていないからである。だから、親も子供の模範になるような態度を示さねばならない。

 

    また、同氏が指摘するのが、夫婦間で信頼関係がなく、夫婦が子供に対して親の権威を見せられないケースがあるという。それが、「お父さんはいつも休日は家でゴロゴロしてだらしない」とか、「子供の面倒も見ないし家事も手伝わない最低の男」とか軽蔑したり、馬鹿にするような言葉を吐くこと。尊敬とは真逆であり、これでは、子供たちは親を尊敬しないと指摘する。それは夫の妻に対する態度も同様であり、夫婦はお互いにパートナーが重要であることを、子供の前で見せていく必要がある。



    以上が金子氏の指摘だが、これを読んで私が最近気になる言葉がある。それは「親ガチャ」。生まれてくる子供は親を選べない。「運次第」という意味なのだが、私はこの言葉に違和感を持っている。例えばガチャで外れたり、期待外のものが出たら、それはすなわち失敗なのだろうか。親の経済力や家族環境、性格などで子供の成功、失敗が変わるのか。子供が親のことを「外れ」と言うのは、子供の立場からの超上から目線で、親に対する尊敬のかけらもない。

   

    これは、上記の金子氏の言葉で振り返ると、子供が悪いのではなく、大人が悪いと思う。親が子供に対し、リーダーシップを発揮できず、親の権威を子供に認めてこさせなかった結果がこの「親ガチャ」の凝縮されている。貧しくても親を尊敬する子供はいるし、離婚して片方の親がいなくても立派に育つ子供がいる。「親ガチャ」と言われ、「困った子だ」と嘆く時点で終わっている。生まれたことに対し、「親ガチャ」と親を馬鹿にするような社会風潮を昔の武家社会の武士が見たらひっくり返るだろう。この本質は、親が子供に模範を示せないと同時に、親の子供に対する教育が適切さを欠いていることを示す端的な例だが、その処方箋を指摘するのも金子氏くらいしかいないのも事実であり、嘆かわしい限りである。

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親衛隊という言葉も死語になった