笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字930は「保」。高齢保育士が日本を救う

今日の漢字は「保」。保護、保険、保証、保釈、保養、天保の改革

 

   「じーじ65歳で保育士になったよ」(高田勇紀夫氏)の本を読む。IBMの部長経験者が定年退職後の65歳にして一念発起し、保育士の資格を取得して保育園のお手伝いを始めた物語。

 

   そもそも保育士になった動機は、待機児童や少子化の問題の解決の少しでもお役に立ちたいと考えたこと。核家族化の環境で保育所に子供を預けられなかったり、女性の社会進出によりキャリアパスの問題から出産を諦めざるを得ない状況、また保育のために女性が会社を辞めることによる収入の減少問題、さらには子供への虐待問題。そうしたさまざまな課題を少しでも解決したいという正義心から立ち上がり、難関の国家資格を取得して保育士として活躍したのである。

 

   そもそも保育士資格は、2003年に国家資格となり、それまでは無資格で保育士を名乗る者が事件や事故を起こす一方、社会で保育の重要性が高まり、保育士の社会的責任が重くなったため。保育士の前は保母さんという名称があったが、今は使われていない。私もそのことは全く知らなかった。男性保育士は東京都でもわずか4.6%。高齢男性の保育士となるともっと少ない。

    そして、保育士養成学校などを卒業していない一般人が保育士になるためには、保育士試験に合格しなければならない。

 

   高田氏は、試験に合格するため、通信教育を受講。保育士試験は、筆記試験と実技試験があり、9科目すべてに合格しないと、実技試験を受験することはできない。実技試験は音楽表現、造形表現、言語表現の3分野から2分野を選ぶ。合格率は約20%。これを聞いただけでも受験しようという意欲が萎える。本では2015年断面で4500人ほどの受験者数があるが、ネットで調べると2020年度は3300人と減少傾向にある。保育士はきつい割に給料が安いと言われており、人手不足の現代においては、敬遠する若者が多いのかもしれない。

 

    しかも、いざ保育士になると、1日は多忙を極める。7時15分オープン。8時から17時の勤務。着替え、掃除、登園する園児のお迎え、園児の健康チェック、連絡帳のチェック、オルガン演奏によるお歌、粘土遊びや折り紙遊び、公園への散歩、お昼の準備、昼食補助、歯磨きと昼寝、昼食の後片付け、園児が昼寝中は、毎月のイベントの企画、お昼寝後におねしょした処理、さらにオルガン演奏での歌、保護者が迎えに来るまで絵本を読んだり塗り絵をしたり。最後の保護者が迎えに来るのが20時15分。これは遅番の人が対応する。1日の忙しい仕事内容が赤裸々に綴られる。これを見ただけでもくたくたに疲れそうである。

 

   これだけ毎日が忙しいが、著者はシニアの働き方の提案として、週3回の無理のない範囲で務めることを提案する。定年退職に安住するのではなく、社会とのつながりを保ち、社会と積極的に役立つ仕事に挑戦しようと主帳する。シニア男性はかならず待機児童問題の解決に貢献できる。シニアの学び直しで保育士の資格を取得し、保育所で子供たちと一緒に遊び、学び、成長する。老後の生きがい、働きがいにつながると述べる。

 

最後のシニア男性への5つの心構え

「健康」「古いプライドは捨て謙虚に」「好奇心を忘れない」「無理せず週3日勤務」「笑顔を忘れない」特に笑顔を重視する。子供は保育士の表情に敏感。世界共通のコミュニケーションツールである「笑顔」を磨けと提唱する。

 

   以上、シニア活躍のひとつのヒントをもらったような気がする。社会とつながることの充実感、子供と接することで元気をもらう、大変だけどやりがいを感じることでの満足感、そして待機児童問題を少しでも解決したいという壮大な問題意識。これらがシニア活躍のひとつの処方箋であると納得するとともに、チャレンジすることの素晴らしさに大いに刺激を受けた次第である。

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