笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字754は「暗」。暗澹たる日本の将来なのか

今日の漢字は「暗」。暗黒、明暗、暗記、暗号、暗殺、暗算。

 

「上流国民 下流国民」の著者、橘玲が辛辣な分析をしていた。

 

    働き方改革が安倍政権以降、急激に進んでいる。それ以外にも非正規社員の雇用改善や就活ルールの廃止、トヨタ自動車の社長が「終身雇用の維持は難しい」と発言するなど、経営者側が従来の日本の雇用の根幹を否定するようなことも起きている。

 

    ここ数年でこうしたことが同時多発的に起きているのは偶然ではない。「働き方改革は、団塊の世代が現役を引退したことではじめて可能になった」という。

    1970年代から半世紀の間、団塊の世代は一貫して日本社会の中核を占めてきた。団塊の世代は労働者数の多さを武器に労使一体となって「正社員」の既得権益を守ってきた。正社員と非正規社員の身分差別的な悪弊にもほとんど手をつけることなく、平成の30年を過ごした。団塊の世代はその人口の多さから、労働市場だけではなく、選挙においても大票田の主軸をなし、どのような政党が権力を握ろうとも、彼らの変革を促すような「改革」ができなかった。

 

    そしてようやく団塊の世代労働市場から退出し、その重しがとれたことで、日本社会にもようやく、グローバルスタンダードから大きく取り残された前近代的な雇用制度を見直そうという機運が生まれてきた。

    この平成時代の30年が「団塊の世代の雇用を守る」ものだとするならば、これからの20年は「団塊の世代の年金を守る」時代になる。

    つまり社会保障少子高齢化の進展で、このまま高齢者が増え続けると年金行政は破綻する。それゆえ改革は必至である。しかしながら改革を断行すると、年金受給者となった団塊の世代は黙っていない。働き方改革が簡単に進まなかったと同様、社会保障制度改革は政治家にとってタブーとなる。

彼らの死活的な利害が「会社(日本型雇用)」から「年金」に移ったことで「働き方改革」は進められるようになったものの、年金と医療・介護保険の「社会保障改革」はますます困難になったのである。

 

橘氏の話はまだ続き、橘氏が経済官庁の若手官僚とこの話になり、

橘氏働き方改革がようやく始まったが、社会保障はどうなるのか」

官僚「誰も改革なんか興味はない」

橘氏「なぜ?」

官僚「理想主義の官僚がどんな改革案を出そうとも、政治家は有権者の不安を煽るとして政治家にすべて握りつぶされてしまう。自分の出世や家族の生活を考えれば、失敗することがわかりきっていることをやる奇特な人間などいませんよ」

橘氏「じゃあどうするの?」

官僚「ひたすら対処療法を繰り返すしかないですね。年金が破綻しそうになったら保険料を引き上げる。医療・介護が膨張したら給付を減らす。それでもだめなら消費税を上げる。そうやって団塊の世代がいなくなる20年をひたすら耐えるのです」

 

    この会話を聞いて暗澹たる気持ちになった。若年世代にしてみれば、問題先送り後のツケの貯まった日本の敗戦処理していくのか。結局高齢者の既得権益が守られ、若者が高い社会保障負担にあえぎ、さらなる貧困に陥る構造は明らか。その社会保障改革のキャスティングボードを高齢者が握っているとするならば、若者はそれに異を唱え、政権をひっくり返す改革を求めていくしかない。結局は若者が自ら選挙に行き、自分達の権益を代弁する政党に政治を託すしかないのである。

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暗記をするという行為自体がなくなった