笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字771は「障」。最低限の所得保障は有効か

今日の漢字は「障」。安全保障、障害、障壁、故障、支障。

 

   ベーシックインカムという考え方がある。

    資本主義の行きすぎにより、今や格差が激しい。富めるものと貧しい者の差は開く一方である。その貧困対策として注目を浴びているのがベーシックインカム。これは直訳すれば「最低限所得保障」。すなわち、働かなくても、国民全員に基本的な収入を保障しましょうというしくみである。

 

    例えば一人にひと月7万円のベーシックインカムを生まれてから死ぬまで無条件で支給するというもの。80歳まで生きれば、収入は6720万円。これが安いと思う人は働けばいいし、それで生活できると思う人は自由に生きる選択肢となる。要するに野垂れ死にすることはない。ただしその分、生活保護は無くなる。しかしながらおよそ6000万円を約1憶人に配るには到底財源が足りない。この場合は消費税の増税や、老後に備える年金制度、失業した場合の雇用保険制度などの社会保障制度を廃止にすることになる。この廃止で事務手続きが大幅に縮小されるので、公務員の人件費を大幅に減らせるメリットもある。

 

     他にもメリットは、自由な働き方を後押しすることがある。お店を出すとか、起業するとか、芸術家になるとか、収入が確約していれば、自分のやりたいことにチャレンジできる。失敗しても無一文になるわけではないから、就職しないでミュージシャンをやる人も出てくる。今のコロナ禍でも、支援金を支給する必要もない。「あとは自己責任です」と、国はそれ以上関与しなくて済み、小さな政府を目指せる。また、必ず一人に7万円が支給されるならば、子供をたくさん作る家族も出てきて、少子化対策になるという識者もいる。

 

    一方デメリットは、ベーシックインカムで人々は働かなくなり、労働生産性が下がる指摘もある。転職も頻繁になり、企業の優秀な人材が育たないことになる。年功序列は完全崩壊するだろう(それはそれでいいが)。労働へのモチベーションが下がれば、国力や国際競争力が落ちる懸念がある。上司のパワハラに即座にその場で「やめてやる」と啖呵を切ってあっさりと辞められるので、パワハラ自体減るかもしれない。

  あとは最大のデメリットは、国際結婚に利用される懸念。低所得の国の妻と偽装結婚し、子供をたくさん作れば、旦那は妻の国でベーシックインカムをもらいながら富裕層になれる。妻に日本国籍がなくても、子供に日本国籍が与えられれば、抜け穴になる可能性がある。そのデメリットを指摘する識者もいて、さまざまな条件を考えた上で導入の可否が判断されることになるだろう。

 

    そうして考えると、ベーシックインカムの導入は、100年前にユートピアと考えられた社会主義に逆戻りするのではないかと思ってしまう。

    しかし今の資本主義の行き過ぎた現状を見るにつけ、やっぱり「みんなが平等に安心して暮らすのが一番だ」という動物的本能に立ち返るならば、社会主義的な生活をする方が実は人類にとって幸福だったりするのかもしれない。

参考文献:おとなの教養3(池上彰)。

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