今日の漢字948は「臆」。臆病者が行うべきマネー術とは
今日の漢字は「臆」。臆測、臆病、臆面もない。
アラ還になって定年後を見据えた暮らし研究をしている。そんな中、読んだ本が、橘玲氏「臆病者のための億万長者入門」。
老後のお金の問題について鋭い指摘をしている。
まず、お金持ちになるためには、3つの方法しかないとのこと。
・収入を増やす。
・支出を減らす。
・資産を上手に活用する。(いわばお金に働いてもらう)
そして、収入を増やす最も確実な方法は、働くということである。
一般的な生活を「資本」という観点でとらえると、
総資本=人的資本+金融資本
金融資本=金融資産(株、貯金)+不動産+年金資産+相続財産
60代のポートフォリオでみれば、
人的資本10%、金融資産(株、貯金)30%、不動産30%、年金資産・相続財産30%くらいが理想だという。(ちなみに20代は、人的資本95%、金融資本5%)
そのポートフォリオを実現するためにはまず、人的資本を最大限活用する。もしくは人的資本の比率を高める。それはすなわち、労働市場で富を得る=働き続けてお金を稼ぐことである。
ちなみに金融資本は、金融市場で資金を運用してリターンを得る。だからお金に働いてもらうためには、投資の勉強も必要である。
さて、人的資本は、労働市場から退出すると、その価値がゼロになる。だから一旦リタイアすると、労働市場からは富が得られなくなり、年金と金融資本頼みになる。
老後のお金の心配をできるだけ減らすために、人的資本の運用期間を長くする(長く働き続ける)。それにより老後のお金に対して前向きな気分でいられる。
橘氏が指摘する点に、日本の問題は、「高齢化」が問題なのではなく、日本人の平均寿命に比べて、定年という強制解雇が早すぎることをあげる。つまり、「老後問題」は、定年となってからの老後が長過ぎることに原因がある。だから年金不安を解消する良薬は「とにかく働くこと」なのである。
重要なのは、投資や倹約で必死にお金を貯めることではなく、労働市場の中で自分の価値を高め、稼げるようになることなのである。
現在、65歳まで雇用延長が義務づけられている高齢者雇用で、企業に70歳までの雇用を努力目標とする法律が施行されている。いずれそれは間違いなく雇用を義務づけるように変わっていくであろう。また、人手不足を反映し、アルバイトやパートなどてシニアの活用も増えている。
ひと昔前なら、定年を過ぎて無職となり、趣味に明け暮れる人に対し、「悠々自適でいいですね」と羨ましがられたが、今は「仕事もせずに毎日遊び歩いて何が楽しいのか。少しは社会の役に立つことでもしたらどうか」と冷ややかな目で見られる時代に変わっている。
「今更働くのは面倒くさい」とか、「良い働き場所がない」などモチベーションも上がらず、一日中ネットを見ている知人の定年退職者を知っているが、全く羨ましいとは思えない。労働市場に身を置くことでお金の心配も少なくなるし、生き甲斐にも間違いなくつながると思う。