笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字610は「凄」。イギリスのコロナの感染拡大が凄まじい

今日の漢字は「凄」。凄惨、凄絶、凄い技。

 

    イギリスでコロナウイルスの感染拡大が凄まじい。

   1日の感染者数が5万人という異常事態であり、医療機関もかなり逼迫している状況。3度目のロックダウン(都市封鎖)も発令された。それは報道では知ることができるが、なぜそのような状態なのか、社会的背景や国民の行動形態まで深堀りして報じられることはない。

 

    その疑問を少し解決してくれるのが、谷本真由美著「世界のニュースを日本人は何も知らない2」。

    イギリスに長く住む著者がイギリス人の行動や思考習慣を分析し、以下のように述べている。

 

・そもそもマスクを嫌がる。イギリスをはじめ欧州では、マスクをする人=異常な人、マスクをしている人は頭がおかしい人、マスクは一風変わった東洋の習慣だとバカにしている。

・マスクはコロナウイルスの飛散拡大防止に根拠がないとしいて国民が従わない。

個人主義が中心の世界であり、国がどう言おうと自分は関係ないという風潮がある。

・「他人に移さないためにマスクをつける」という発想がそもそもない自己中心的な人が多く、他人がどうなろうと知ったことではない。

・イギリス人は保守的で、なかなか新しいものを試すということをしない

 

    そんな著者の分析があったので、日本で放送される、イギリスの感染拡大のニュース映像を注視して見ていると、確かに画面に映るイギリス人はマスクをしていない人が多い。これだけ感染が拡大しているのに、相変わらず人々は我れ関せずの行動形態をとっているようだ。

 

    現地で生活するとこのような実態が垣間見られるのだが、如何せん、そのようなことは情報で広がることがない。現地に住んでいるからこそ見える日本と世界に差があることを知っておいた方が良い。

 

    そういう意味では、国がロックアウトのような強権を発動せずに、自粛のお願いや、マスク着用、手洗いの励行を国民に呼びかけ、それに自然に従う日本人の素直さというか愚直さが際立っている。そもそも日本を含めアジアの人々はマスクに抵抗感がない。花粉症の時期には、花粉から呼吸器官を守ろうとマスクを着用することが当たり前の習慣となっていることも大きく影響している。

 

    また、著者が指摘するように、保守的なイギリス人と違い、日本人は好奇心が旺盛で、「試しにやってみよう」というチャレンジ精神がある。イソジンが言いと大阪府知事が発言すると、店頭からイソジンが消える現象も、「いいなら試してみるか」の好奇心のなせる業。賛否は別にしても、柔軟性があるような気がする。

 

   日本の集団性、皆と一緒の行動主義や同調圧力を批判する傾向もあるが、このような緊急事態にあっては、他人のことは知ったことではないという個人主義が全面に出てしまうと、混乱に拍車がかかることは間違いない。ある意味、マスクをつけて他人に迷惑を及ばないよう行動しようという意識は極めて日本的であり、自制の意識とともに社会的な統制が自然と機能する日本人の行動形態は、コロナの感染拡大を最小限に食い止めるという点では、有利に働いているような気がする。

 

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滋養強壮剤の広告で、女性から「凄い」と言われてもなーといつも思う