笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字609は「躍」。ジャンプ競技で鳥人たちの飛躍を見る

今日の漢字は「躍」。飛躍、跳躍、活躍、躍動感。

 

    ジャンプ大会を見に行った。

    北海道に住んでいながら、実はジャンプ競技というものを見たことがなかった。

   理由はただ一つ。寒いから。

 

    テレビでジャンプ中継があるが、画面にたまに映る観客は、ただ寒そうに突っ立っているだけ。生で見るよりテレビの方が見やすい。

 

   そもそも冬の屋外競技など見たことがない。ウインタースポーツのメッカの北海道なのに、競技観戦しないのも寂しい。

   という事で一念発起し、スキージャンプの観戦と相成った。大空に飛躍するスキージャンパーたちの勇姿を目に焼き付けよう。

 

   地下鉄駅からバスに乗り込み、大倉山ジャンプ競技場をめざす。

   ここは言わずと知れた1972年、札幌オリンピック90メートル級ジャンプ競技が行われた場所。あれから50年近く経つが、改修を重ねて今も現役で使われている。札幌オリンピックを思い起こせば、70メートル級ジャンプで日の丸飛行隊は金銀銅のメダルを独占した。その夢よもう一度と90メートル級でもさらなるメダルの期待がかかったが、エース笠谷を始め日本人ジャンパーは失速し、メダルに手が届かなかった。

 

    その後は葛西紀明高梨沙羅らのジャンパーたちが、この大倉山のジャンプ台で飛び、成長し、メダリストへの階段を登っていった。

 

    そんな思いに耽るうちにバスは20分ほどで到着。昔は90メートル級と言ったが、今はラージヒルという。入場料1000円を払い、検温、手指消毒、書類記載などをして会場へ。

 

    この日の天気は快晴。気温は午前10時半の競技開始断面でマイナス6度。寒い。そう思って、タイツと靴下をそれぞれ2枚の2重履き。上の重ね着は計5枚、帽子と手袋をして防寒対策をバッチリ施してきた。

 

    ここには夏の時期に何度か来たことがある。なぜならば、ここからリフトでジャンプ台のスタート地点まで登れ、そこから札幌市内が一望できる。意外と知られていない隠れた絶景スポットなので、北海道に遊びに来た友人らをよく連れてきた。夏の観光スポットなのだが、冬に来たのは初めてであった。

 

   既に女子の競技が始まっていた。

    下から見る分には距離がある。ちょっと遠い。選手は豆粒。着地地点もよくわからない。んー今イチだ。

    女子30人の飛躍は適当に見て、選手が着地する落下地点に近い観覧席に移動する。

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下から見ると結構デカイ

   男子競技をそこから見た。

   選手が近くなった。ジャンプした選手の風を切る音がゴゴゴと聞こえてきて迫力がある。

 

   選手が着地するランディングバーンの斜度は結構きつく、当然のことながらスタート地点は、遥か上にあって全く見えない。

 

「35ばーん、○○、雪印メグミルク」などのスタジアムDJばりのコールがあり一瞬の静寂が。そののち、「ポーン」とスタートを告げる電子音が鳴る。その10秒後、空からジャンパーが降りてくる。ゴゴゴーとシュシューという風を切る複雑な音が交ざって聞こえたあと、バターンという着地音。後はスーっとスキーが流れていく音とともに静寂が訪れる。ジャンパーが視界にはいってから着地までの時間は、わずか5秒。ジャンプはあっという間に終わる。

「今の跳躍は127メートルの大ジャンプ!」などと放送で解説が入った。

 

    100メートル付近の失敗ジャンプもあれば、130メートル付近まで伸ばす人。技術の違いはそう無いのだろうが、しかし先人たちはよくこんな競技を考えたものだと感心した。

 

    立ちっ放しで見ていたので、すっかり足が冷えた。この日は日本代表級の選手がワールドカップ転戦中で不在。その中で一番有名な伊藤大貴も欠場していたこともあり、少し盛り上がりに欠けた。しかしながら寒いなか、ウインタースポーツに取り組む選手たちの熱くかつひたむきな姿が跳躍を通じて伝わってきたような気がする。

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鳥人たちの熱い闘いは続く