今日の漢字602は「観」。日本の観光復興は間違いなく起きる
今日の漢字は「観」。観点、主観、参観、観音寺市。
「新観光立国論」のデービッド・アトキンソンの講演をかつて聞いたことがある。
なぜかよく分からないが、6年前の講演のメモが残っていた。(勉強しようとメモっていたようだ)
今はコロナ禍で観光どころではないが、アフターコロナでは観光の復権は確実である。
改めて、2021年以降の観光について考えた。
アトキンソン氏の主張。
・観光大国の4条件・・自然(多様な自然)、気候、文化、食。日本はこの4条件を全て兼ね備える稀有な国。
・フランスは山、雪もあり、海、ビーチリゾートもある。
・スキーリゾートがあるかないかで1000万人、ビーチリゾートがあるかないかで1500~2000万人の違いがでる。
・そういう意味では、日本は南北に長いから自然・気候の多様性がある。北海道のスキーリゾートもあれば、沖縄のビーチリゾートもあり、選択肢は多い。
・どの国も他の文化を真似して自国の文化を昇華させている。基本的に足し算文化。日本も古来の神道に仏教が加わった。平安貴族の装束の上に武家装束が加わった。日本食にラーメン、カレーライス、カツ丼など、洋食が足されて独自の進化となった。
文化や歴史の重層性のある国は、前代を否定して作り直すのではなく、足したり加えたりすることで、多様性に満ちた展開に落とし込んでいる。
・日本人は、おもてなし、治安の良さ、電車の正確性などをアピールポイントにするが、それはアピールポイントにならない。「おもてなし」を主たる観光目的で来る外国人はいない。
・治安も、一定以上の治安があれば、それが主目的にはならない。
・観光産業が無くなることはない。現段階で14億人規模だが、2030年には18億人のマーケット規模になる。
・観光収入はGDP比で世界では1.61%。日本は0.41%。129ヶ国中126位と低い。
・観光は簡単に着手できるし、マーケット規模も大きい。
・日本への訪問者の80%はアジアであるが、その状況はとてもリスキー。これからは遠い国にアピールしなければならない。なぜなら遠い国は移動と滞在にお金がかかる。滞在期間も長くなるから、たくさんお金を落としてくれる。
・見物ではなく、見学してもらう。つまり、見て終わりではなく、学んで帰ってもらう。そのための素材を提供する。
・観光はマーケティングととらえ、誰に、どのように、どういう風に来てもらうかの戦略を立てる。抽象的なPRではなく、具体的なPRを考える。
・一人の滞在でかける費用の割合は、宿泊26%、食事19%、観光45%。したがってホテルにお金をかける。外資系ホテルはスイートルームに力を入れており、ホテル業界も富裕層対策が必要。
・文化財への投資が必要。文化庁の予算は少なすぎる。日本の貴重な文化財に対し、日本は保護の考え方しかない。多くの観光客に見せて学んでもらう取り組みが大事。
この講演会は2015年と6年前に行われた。
2019年までの4年の間にインバウンドも順調に伸ばし、日本の観光産業に明るい未来像が描けた。2020年はコロナ禍で頓挫したが、コロナはいつかは収束する。その後の観光復興は間違いなく起きるであろうし、アジアを中心とした海外旅行者の爆発的大量流入も想像される。
そのときに慌てて対応しないように、少子高齢化の日本にあって唯一光明の見出せる観光産業を活性化させていくしかない。