今日の漢字603は「帰」。速攻帰って家でドラマを見る時代ではない
今日の漢字は「帰」。帰国、復帰、帰路、回帰、帰結。
「テレビのなみだ」(鈴木おさむ)で、最近のOLは速攻家に帰ってテレビを見ない話が出てくる。
テレビ朝日の「帰れま10」で人気メニューベスト10を当てる企画がある。居酒屋、ファミレス、ハンバーガーなどの人気メニューベスト10を当てるもの。
そもそもこの「帰れま10」の企画は、鈴木氏と携帯サイト会社の社長と話したことから生まれたそうだ。
ところで最近、F1層と言われる20~34歳の女性があまりテレビを見なくなったが、その時間にこれらの女性たちは一体何をしているのか、この携帯サイトの会社がアンケートをしたという。
携帯サイト社長「テレビを見ないでやっていることの第1位、何だと思います?」
鈴木おさむ氏「ネット?携帯電話?」
社長「テレビの人は、テレビを見なくなった理由を、ネットや携帯のせいにしすぎですよ」
社長「その会社の調査によると、F1層がテレビを見ないでしていることの第1位は、「チェーン店の安い居酒屋で友達と喋っている」ことなんです。」
今はコロナ禍の影響はあるが、居酒屋チェーンの競争は激しく、メニュー、内装、価格などで各店が知恵を絞り、鎬を削る。どこの居酒屋も、若者にウケる戦略を練り、リピーターになってもらおうと必死である。
コロナ禍以前は、若い女性陣はネットなどのデジタルな生活によってテレビを見ないのではなく、家に帰らずに居酒屋で雑談するというアナログな世界で時間消費している実態が浮かび上がった。
テレビのライバルが居酒屋とは思いもよらなかったと鈴木氏は述べている。
それで思い出すのは、30年前のフジテレビ月9のドラマ。数々のトレンディドラマを生み出した月曜日21時のドラマに若い女性たちは釘付けになった。私の職場でも月曜日の残業をなるべくしないばかりではなく、飲み会の設定も月曜日は避けるというのが当たり前であり、女性社員に忖度していた。当時はVHSのテープ式のビデオデッキが普及していたから、録画できないわけではなかったが、多くの女性達は、生でトレンディドラマを見たいという欲望が強かった。つまりリアルタイムでドラマを見ることで感情移入し、自分があたかもそのヒロインになったかのような錯覚を疑似体験していたのだ。当時はトレンディ俳優の三上博史が大人気で、彼をテレビ画面で見てうっとりするOLたちが出現していた。
翻って最近、F1層が居酒屋で雑談に励む裏側で、すぐに家に帰って見たいテレビはあるのだろうか。家でテレビを見てもつまらないから、友達との交流を優先しているのではあるまいか。
今やテレビ番組を録画しなくても、ティーバーでの配信や何ヶ月遅れに発売されるドラマのレンタルDVDで見られる時代。生や録画してまで見たいドラマがないというのが実情かもしれない。バラエティであれば尚更である。今の若者は居酒屋でのトーク以外にも、ラインやSNSなどデジタル機器を駆使した生活で忙しい。わざわざ録画してまで、まともにテレビを見る時代ではないのかもしれない。
「今日は速攻帰ってドラマ視聴」の習慣が壊滅してしまった令和の時代は寂しい限りである。