今日の漢字579は「詐」。オレオレ詐欺には要注意
今日の漢字は「詐」。詐欺、詐称。
日本人は基本的に他人に対しては、性善説だと思う。
その根拠は、これだけ注意喚起されても、オレオレ詐欺が無くならないということが、それを証明している。
身内の危機に対して何とか助けてあげたいという親心が働くのだろうが、嘘の電話を本人からの電話であると信じてしまうことと、まさか本人以外の人間が電話をかけてくるはずがないという性善説によっている。
オレオレ詐欺の実例をひとつ。実際に知人の会社の人がオレオレ詐欺にあった時の様子を実況。
ご主人の妻が自宅で電話を受ける。「あーこちら警察ですけど、お宅のご主人が車で事故を起こして、被害者の方と示談になりまして。ご主人が奥さんと話があるとのことで電話を変わります」
ご主人(涙声でよく聞き取れない声で)「うー、あーすまん。車の事故で被害者と示談になった。修理代の50万円を今すぐ振り込まなければならない。これから銀行に行って振り込んでくれるか」
ご主人の妻「あなた。何わけのわからないこと言ってるの?」
ご主人(同じく涙声)「だから、うー、そのー頼む。お金が今、いるんだ。被害者もカンカンで俺も泣きそうなんだ。お金を払わないと今日は帰してくれない」
ご主人の妻「あなたが車を運転して事故を起こして、それで被害者の車に損害を与えたっていうこと?」
ご主人(同じく涙声)「うーそうなんだ。向こうから50万円要求されている」
ご主人の妻「おかしいわねー」
ご主人「えっ?」
ご主人の妻「だってあなた。運転免許持っていないでしょ」
(電話を切る音)ガチャ
笑い話のような展開であるが、これは実話である。
オレオレ詐欺の犯人グループは、奥さんがご主人の声だと判然しないように、涙声のように敢えて聞き取りずらくして、奥さんの動揺を誘い、振込みさせようという魂胆だった。しかし、そもそも運転免許を持っていない旦那に電話をかけたのが運のツキ。奥さんも極めて冷静に対応され、危機管理能力の高さを垣間見た。
海外でオレオレ詐欺が暗躍できないのは、諸外国では、個人主義と独立意識が浸透しているから。「自分のことは自分で対処する」という行動姿勢が自然と身についているという。だから息子からオレオレ詐欺の電話がかかってきて、金を工面してくれと頼まれても、親は「それはお前の問題であって、父さんは関係ない」ときっぱりと断るという。
日本の場合は、家の概念が色濃く残っており、独立した若者であっても、家族や身内という意識が抜けない。困っている息子や孫を見ると助けずにはいられないという性善説が脳内で発動し、たいした確認もせずに振り込んでしまう。世間体もあって、ご近所の恥にはなりたくない心理も影響している。
もしオレオレ詐欺から電話がかかってきて、息子や孫から金銭の振込みを求められた場合、「父さんはいつも問題が起きればまず自分で解決せよと教えたではないか。自分で解決できない問題を電話でお願いしてくるとは何ごとだ。直接来て頭を下げにくるのが筋だろう」と言って突き放す。
それが一番である。
最近は、電話ではなく、メールやラインで様々な詐欺案件が来るから、全て無視し、本当に困っていれば電話でしつこく来るはずだから、その際に対応すれば良い。これからは、電話を使った詐欺から、デジタル機器への詐欺に移っていく。とにかく金の話が出た瞬間にすべてを疑う姿勢を持ち続けることだと思う。