笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字483は「店」。奇跡の本屋を作りたかった店主の思いに感銘を受ける

今日の漢字は「店」。店舗、商店、店子、お店。

 

「奇跡の本屋をつくりたい」読んだ。

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    その本屋とは、札幌市西区琴似にあったくすみ書房。

 

     昭和21年創業の「町の本屋」。しかし近所の大型書店の進出や地下鉄延伸による人の流れの変化により、経営が悪化。起死回生策として数々のフェアを行い、全国からも注目されるほどの人気書店に。

 

    しかし時代の流れには逆らえず、資金繰りに行き詰まりついに閉店。再起をかけたものの病に犯され、66歳の生涯を閉じる店主、久住社長の物語である。

 

    当時、売上に悩む久住社長が乾坤一擲の大勝負をかけたのは「なぜだ、売れない文庫フェア」。

 

    本にはベストセラーばかりではなく、良書だが売れない文庫もたくさんある。ベストセラーだけを重点的に売れば儲かるという常識を捨て、売れない文庫を売るという破天荒な取り組みにマスコミが注目。大きく報道され、お客が殺到し、用意した1500冊が1ケ月で完売するという大成功を収めた。

 

    発想を変えればピンチがチャンスになると気づいた久住社長は、次に書店に中学生が来店しないことから、中学生を呼び込むべく「中学生はこれを読め」フェアを展開。これも売り上げに大きく貢献し、その後の高校生シリーズ、小学生シリーズにつながっていく。

 

     しかしその後目と鼻の先に全国チェーンのT書店が、さらに3キロ先にも超大型書店ができ、経営は大ピンチに陥る。ついには琴似の店を畳み、地下鉄ターミナルのある大谷地に移転する。

 

      しかしここでも売上は上がるももの、一等地だけに家賃が重くのしかかり、6年目で敢えなく破綻。寄付をお願いしたり、クラウドファウンディングで資金を集めるも、閉店の憂き目となった。

 

     久住社長は、「中学生はこれを読め」を企画したのは、

「本には人生を変える力があるから」と懐述している。悩みごとや生き方、勉強、仕事の行き詰まり。そうした時に本を読んで思いや姿勢がガラリと180度変わることがある。「本にはその力がある」と強調。

 

「本が人生をを変え、奇跡を起こす」。

 

   また、「本にはすべての答えがある」。

 

「混沌とした世の中を生きるには、自分で考え、自分で答えを見つけていかねばならない。誰も教えてくれないからこそ本を読んでほしい」「子供たちにはいつもそばに本がある人生を歩んでもらいたい」と語っている。

 

     昨今の若者は本を読まなくなったと言われる。久住社長の言うように、自分の生き方に大きく影響を与える本に多感な時期から関わっておけば、本が一生の友となるかもしれない。

 

    残念ながら久住社長は病に倒れたが、そんな彼自身の思いを講演などで多くの人に伝えたかったという。

 

    しかしこの本が多くの人に読まれれば、彼の遺志も多くの人に伝わると思う。

 

    リアル書店がどんどん減り、こうした熱い心を持った店主がいなくなるのは寂しい。中学生が書店の店主から薦められて本を読むという行為自体が無くなっていくのは時代の流れなのかもしれない。

 

    しかし、どこかで自分の人生に影響を与える良書に出会うためにも、まずは本に触れ、「他人にもこういう人生があるのだ」と偽装体験することが、さらに自分にとってより良い、かつ面白い人生につながっていくのではないかと思う。

 

もっと本を読もう。心からそう思う。

 

ご愛読、ありがとうございます。

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店員さんには「さん」付けしよう