笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字330

今日の漢字は「霜」。初霜、霜柱、秋霜烈日。

   江戸時代の儒学者佐藤一斎がいる。彼の残した言葉「春風秋霜」を座右の銘の一つにしている。文章にすれば「春風を以て人に接し、秋霜を以て自ら慎む」

    要するに、春風のような和やかさで人に接し、秋霜の厳しさをもって自己を制御することである。

    これに似たシチュエーションは、人と待ち合わせをした時のこと。友人は待ち合わせ時間に来ず、30分近く遅れてきたことがあった。その間、私はずっとイライラしっぱなし。友人が来た途端、「えらく忙しいんだね」と嫌みを口走ってしまった。その場は丸く収まったが、私は内心彼を許せなかったのと、家に帰ったあとも待ち時間が無駄であったことを呪った。

    その話を妻にすると、「人はどれだけ言っても変わらない。だから自分を変えるしかないのよ」。それを聞いて、この佐藤一斎の言葉を思い出した。

    あくまで他人には笑顔で優しく接する。時には大目に見てあげる。それくらいの度量の大きさが必要。そして自分に対しては厳しく律する。

    先の例で言えば、約束の時間には、相手が遅れたとしてもそれを批判するのではなく、また、その行動を注意して直させようとするのでもなく、優しい心で淡々と受け止める。そしてそんな状況でもイライラしない心の平静を身につける。なおかつ、逆に自分は決して待ち合わせ時間には遅れない、相手を失望させないというルールを厳しく自分に課す。それが春風秋霜の持つ意味なのだ。

   人に厳しく自分に甘い人は大勢いる。しかしその人たちは、決して人からは好かれないし、信頼もされない。

   私の上司にも、人に厳しいばかりで、なおかつ人に責任を押し付けるトンデモ上司がいたが、案の定、部下からは総スカンを食らい、全く信頼されていなかった。

  人は春風のように穏和に接し、自分には晩秋の霜のように凛として生きていくという気概が求めれると思う。自分を律するのは修行でもあり、難しいが、自分だからこそ変えられるのだと、その可能性を信じる方が、他人を変えるより余程楽である。

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星霜を経る(年月が経る)という言い方は格好いい