笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字1050は「衆」。群衆心理には気をつけよう

今日の漢字は「衆」。衆議員、衆人、観衆、大衆、民衆、皆の衆。

 

 人間は群れる動物だという意見があるが、人は一人でいるよりも、大勢でいることに安心感を覚える。ハーディング現象と呼ばれるもので、群れをなしたい私たちの心理がもたらす現象。群衆心理とも言われる。

 30頭ほどの羊の群れが道をとぼとぼ歩いている。Y字路に差し掛かった際、おもむろに先頭の羊が右の道に歩き出したところ、つられるかのようにその他の羊の群れがその一頭のあとをついていく。動物に限らず、私たち人間も、一人よりもその他大勢と一緒に行動することに大きな安心感を持つ。

 

 群衆心理は、「自分だけがのけ者」の圧迫心理が働き、「みんなと一緒でいたい」「みんな持っているから欲しい」となる。その気持ちは、子供の頃から持つ。テレビゲームやスマートフォンはその際たるものだろう。

 そのハーディング効果と逆行した我が家は、息子が小学生の頃、友達が皆な持っているからとテレビゲームをねだられた。しかし我が家は頑としてテレビゲームには反対。買い与えるということはしなかった。妻がママ友と情報交換するなかで、子供にテレビゲームを買い与えた途端、ゲームに入り浸り、勉強がおろそかになったというネガティブ情報をさんざん仕入れていた。だから我が家はそうならないよう、心を鬼にして、テレビゲームを買わなかった。息子は相当反発したものの諦め、しぶしぶ友達の家でゲームをしたが、クラスでもゲームの話題についていけなかったようだ。最後彼はそれに対してあまり不満は口にしていなかったが、相当我慢したのだと思う。そう感じるのは、20歳を過ぎて会社員をしている今、しみじみと昔を振り返り、「あの頃は話題についていけなくて辛かった。仲間外れとまではいかないが、友人関係はあまり良くなかった」と吐露していた。

 

 このようにハーディング現象で「人に乗り遅れまい」とする心理をついて商売することはよくある。平成に流行した「たまごっち」や、最近ではすっかり秋の風物詩になった「ハロウィン」も群衆心理でメジャーなイベントになった。すっかりブームが去った「タピオカミルクティー」も若い女性がブームの火付け役となった。

 群衆心理は恐ろしい側面もあり、典型はヒトラー崇拝と戦争。あたかも救世主のような人物が現れ、多くの人が支持し始めると、雪崩を打ったようになびく。それが悪の道につき進んでも、誰もそれを止められない危うさも含んでいる。そういう意味では為政者の暴走を食い止める、間違った道を歩もうとすると待ったをかける第三者目線が必要であり、その役割をマスコミが担っている。それは太平洋戦争でマスコミも群集心理に巻き込まれて大本営記事で大失敗を喫した苦い経験が生かされていると思う。小さな声を大事にするという姿勢を常に持たねばならないということなのだ。

 

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たまには公衆浴場に行きたい