笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字780は「確」。ギャンブルは勝てる確率が低い

今日の漢字は「確」。確認、確実、的確。

 

   「ギャンブラーの誤謬」。行動経済学での言葉だが、特定のことが起こる確率を、自分の主観や感覚で勝手に高く見積もってしまうことをいう。

   

     特定の事象に対して、導き出される確率が決まっているにもかかわらず、人は時として高い確率を期待してしまうもの。主観的な判断によって客観的な確率を歪めてしまうケースは、ギャンブラーに限らず投資家も陥りがちである。

 

    例えばルーレットで3回続けて黒が出ると、直感的に「黒が3回出続けているから、次は赤が出るかもしれない」という予測が働く。しかしルーレットは1回1回独立して行われるゲームであり、前回の影響が次回に影響を与えることはない。どちらも2分の1の確率。「次は赤だ」という判断に論理的な根拠はない。これこそがギャンブラーの誤謬と言われるゆえんである。株式相場も7日連続で上がったから翌日も上がるというのは根拠のない推論なのである。

 

そんなルーレットで思い出した話。

 

    学生の卒業旅行でイタリアからスペインに移動する途中、フランス国の一角にポツリと存在する地中海沿岸の独立国、モナコに1泊した。モナコと言えばカジノで有名。別にプレーをしなくてもいいから、カジノの雰囲気を味わいたいとして、旅の友人と2人でカジノに向かった。見学するだけだと受付で伝え、パスポートチェックをして無事入店を認めれれた。

 

    カジノは初体験だし、ギャンブルで儲けようという気もさらさら無かったので、いちギャラリー。フロアではルーレットが開かれていて、特に賭けるわけでもなく、後ろからプレーヤーの挙動を見つめていた。

 

    一人白人の男性がルーレットの出た目をすべてメモして賭けていた。よくよく目を凝らすと、彼は赤にばかり賭けていた。そしてメモを見ると、結果は黒ばかり。5回連続で黒が出ていた。彼は6回目、またも赤に賭けた。ルーレットのディーラーは無表情でボールを投入。結果、出た目は黒。白人男性はまたも外れた。そして彼は7回目も凝りもせず赤に賭ける。そしてまたも出た目は黒。白人男性は、確率論からそろそろ赤が出るだろうと予想し、赤にばかり賭け続けたが、結果は全て裏目だった。私はそれを見ながら、結局はディーラーの手のひらで転がされているに過ぎないと推測した。ディーラーは、自ら出したい目に球を入れられるくらいの腕前を基本的に持ってると聞いたことがあるが、そのディーラーは白人男性をおちょくるかのように逆の目を出していた。そして8回目も黒。白人男性がため息をつくのを横目に、その席から離れた。

 

    この経験はまさに、ギャンブラーの誤謬に陥った典型例。7回連続黒だから、そろそろ赤などという法則はなく、あくまで確率2分の1なのである。

 

   その一件以来、私はカジノという施設に足を踏み入れたことはない。おそらくこれからも行くことはないであろう。なぜならば、胴元にカモにされるだけだとわかっているからである。単に意気地がないだけかもしれないが。

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何事も確認が必要