笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字795は「床」。床屋談義は減りつつある

今日の漢字は「床」。起床、病床、寝床、床の間。

 

    床屋談義というものがある。床屋ではお客と髪を切る主人が1対1となるから、雑談が生じやすい。世相から政治、芸能、家やご近所さんの話題などネタには事欠かない。床屋はタクシーとともに日本の2大雑談のシチュエーションだと個人的には思っている。

 

    しかし、私はめっきり個人が経営する床屋には行かなくなった。もう何年もそういうバーバーには行っていない。なぜなら値段が高いから。今は全国にチェーン展開しているプラージュやQBハウスなど、コンビニ理髪店を利用している。それらの店が増える前はほとんどが個人の床屋だったから、1回4000円はしていた。プラージュは1回税込1650円だから、必然的に安い方に向いてしまう。プラージュに行ってもカットはせいぜい5分。しかも分業制だから、ひげを剃る人、シャンプーする人は別々の人。だから雑談する余裕などない。大抵これらの店は混んでいるから、雑談などしていると白い目で見られる。効率性が大事なのである。

 

    大手チェーン店ができる前は、馴染みの店を決めることはなく、その都度肌感覚などで半ばジプシー的に床屋通いをしていた。だから1回行ってみて今ひとつならば二度と行かず、それなりにいいと思った床屋は何回か通ったり、あるいは女性が行く美容室にもトライした。1ヶ所に決めなかったのは、常連になってしまうと、毎回その床屋に行かねばならない義務になると心配したから。知人は20代の頃からずっと同じ床屋を利用している。30代になって住宅を購入し、通っていた床屋は随分と遠くなったが、それでも毎回1時間近くをかけてその床屋に通う律儀な側面を見せている。私にはとてもそのような芸当はできない。

 

     個人の理髪店のいいところは、いろいろなサービスが受けられること。例えば耳垢取り。300円を支払えばオプションで耳垢取りをしてくれる。また、ある床屋では無料で1~2分ほど肩を揉んでくれた。散髪後にインスタントではあったがコーヒーを出してくれる床屋もあった。また、ある店はカットする女性がなぜかみな若い女性で、髪を切ってもらいながらいい匂いがしたので、おじさんはそれにつられて3~4回通ったこともあった。

 

    そんな個性的な店もおそらく店主の高齢化などで廃業も進んでいるのではないか。店先に必ずある、赤、青、白の3色の回転灯は、何となく昭和の雰囲気を醸し出している。また、床屋で順番を待つ時の、スポーツ紙や週刊誌、漫画を読みながらのんびりすることは懐かしい。「待つ」ことに対する心の余裕があった。今はそんな時間も許さない雰囲気も感じられ、ゆったりと過ごすこのような空間はいつまでも残ってほしいと勝手に思っている。

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床山は力士の髪を結う人