笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字766は「絶」。水は絶対に必要

 今日の漢字は「絶」。絶滅、拒絶、断絶、絶景、空前絶後

 

   人間が生きていくのに絶対に必要な水。

   日本は水に恵まれすぎているから、水の価値に対して少し無頓着だと思う。これだけ水が豊富な国というのも珍しく、これも夏の梅雨や秋の台風、冬の降雪で国土にどっさりと恵みの水をもたらせてくれるから、水があることが当たり前とみられがち。庭の花にホースでたっぷりと水やりする姿を中東やアフリカの砂漠の国が見ると卒倒すると思われるくらい、日本では水が空気のような存在である。

 

 

    ドイツに旅行した際、たまたまミュンヘン駐在しているメーカーの知人がいて、アパートを訪ねた。その際、水を所望すると「水道水はとても飲めたものではない」とミネラルウォーターを出してきた。好奇心のあった私は、その理由を問うと、彼はおもむろに水道水をピッチャーについで、しかもコップの上にろ紙を敷いて、その上から水を注ぎ始めた。数分後、ろ紙を見ると、白い塊のようなものが載っていた。なんだと私が聞くと、彼は「よくわからないがカルシウムの塊だろう」とのこと。水道水に普通にカルシウムの塊が混じって供給されているのだ。知人は「最初何も知らずに水道水を飲んだら腹をこわした。おかしいなと思ったら、このありさま。水道水を使う時は1回1回ろ過しなければならず、えらく面倒くさい」とのことだった。

こんな異物が入っていれば、日本なら大問題。そうならないところに、あの緻密なドイツ国民も水道水には寛容なのかと思った。

 

     水道をひねると何の疑問もなく出てくる水。今でこそ浄水器があるからおいしく水が飲めるが、関西に学生でいた頃はつらかった。関西の人には申し訳ないが、水がまずい。東京もまずいと思ったが、関西はそれ以上にまずい。浄水器など普及していない30年前は、水道水をそのまま飲むしかなかった。同じように北海道から関西の大学に来ていた高校時代の同級生も「しょうがないだろ。関西の水がめは琵琶湖だし。この前俺はそこで海水浴ならぬ湖水浴したわ。そのときの俺の体の垢も混じってここに来ているんだ」と自嘲気味にぼやいていた。

塩素たっぷりの水道水を飲まされる市民もたまったものではないが、水は命ゆえ、しょうがない。

 

    ところで意外と知られていないが、日本の水道事業が民営化される法律が2018年に可決、成立している。少子化や過疎化による水道収入の減や水道設備の老朽化などから各自治体は維持や運営に頭を悩ませており、そうした公的事業に民間の水道事業の運営ノウハウをもった民間企業の参入を認めようというもの。競争により市場活性化の目論見もあり、実際、イギリスやフランスでは民営化された。しかし民営化後に水道料金が値上がりした国もあり、国民の反対で再度公営化された事例もある。

 

    なんでもかんでも市場原理にゆだねるとロクなことはない。もし水道料金が民間で運営され、「利益があがらないと値上げします」では困る。電気やガスのように他に競争する事業者がいなければ値上がりを受け入れざるを得ない。企業の理屈で値上がりするのはまっぴらごめんである。

水は安全に、安く、快適に使うのが理想であるが、時には、天気や雨の恵みに感謝しながら水を味わいたいものである。

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絶頂期はとっくに過ぎたのか