笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字759は「嵐」。深夜番組の最強番組は砂の嵐

今日の漢字は「嵐」。雪嵐、嵐の前の静けさ、嵐山。

 

   深夜番組について。昭和時代に青少年だった今の中高年にとって、「深夜番組」といえば、イコールエッチな番組というイメージが強い。日本テレビ大橋巨泉の「11(イレブン)PM」やテレビ朝日山本晋也の「トゥナイト」は、その代表例。今ならあり得ないが、女性のおっぱいもろ出しのエッチな映像が平気で流れていた。だから当時高校生の私は、親が寝たのを見計らってそそくさとテレビを点け、11PMとトゥナイトをザッピングしながら凝視していた。

 

   ただ番組は毎回エッチな構成ではないから、エロな画像が流れる日もあれば、流れない日もあり、それはある意味賭け。何もなかった日はがっくりと肩を落とし、明日の学校のことを思うと気が重かった。

 

   都市伝説で有名だが、当時まことしやかに男子高校生の間で流布した噂が、「11PMが終わったあとに、もの凄いエッチな映像が流れる」というもの。しかもその番組のタイトルが「砂の嵐」。どれだけ凄い番組なのかと、毎晩、眠い目をこすりながらTVの前に座りガン見。11PMが終わり、さらにテレビ局の放送が終了。TV画面が「ザザー」という音とともに、「何が起きるのか」を期待しながら、白と黒のテンしか映らないTVをひすら凝視していた。

 

   何日もそういう日が続き、学校で友達にこっそり呟いた。

私「砂の嵐ってエッチな番組が全く始まらねーなー」。

友達「おまえ昨日何時まで起きていたの」

私「11PMが終わったあと2時まで」

友達「画面に何が映っていたか」

私「砂粒みたいな白と黒の画像しか映ってなくて、音声もザザーというだけだった」

すると友達は思い切り噴き出してこう言った。

「その砂粒が砂の嵐だよ。そんな時間に急にエッチな番組が流れるわけはないだろう。おまえは昨日、ずっと砂の嵐を見ていたんだよ」。

 

   ガガーン。何と、すっかり騙された。聞くと、そいつも実は騙されていたとのこと。高校生のエッチで多感な心をもてあそんだデマだったのだ。これには続きがあり、他のテレビ局では「愛の短冊」というエッチ番組のデマ情報も流れていた。その局では放送終了後、カラーバーという何色かのバーが画面に流れていて、それを「短冊」にもじったものだった。

 

   まだビデオもDVDもない時代。視聴者は生でテレビを見るしかなく、見逃せば永遠に見られないのがあたりまえだった。だから高校生たちは少ない情報を鵜呑みにし、その一瞬一瞬を見逃さないという強い意志をもってテレビの前に鎮座していた。しかも親の目を盗んで。地上波でエッチな映像が流れた時代もどうかと思うが、見逃すまいとしてそれを楽しみにしていた深夜番組とは、高校生にとった大きな存在だったのだと改めて思う。

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京福電鉄嵐山線は「嵐電」という