笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字643は「娯」。ラジオが高校生の深夜の娯楽の王者だった頃

今日の漢字は「娯」。娯楽しかない。

 

   テレビゲームがまだ家庭で流行る前の娯楽の王者はテレビかラジオ。特に高校生の深夜の娯楽といえば、ラジオだった。

 

    部屋には当然ながらテレビもゲームもスマホもない時代。勉強中や寝る前の睡眠薬のお供はラジオだった。

    当時はオールナイトニッポンのような、パーソナリティとリスナーがハガキなどで双方向に語ったり、いろいろなコーナーを設けてリスナーを楽しませていた。

 

    そんなときによく聞いていたのは、地元の放送局(札幌テレビ)が深夜に放送していた「アタックヤング」。オールナイトニッポンのローカル版で、深夜1時から始まるオールナイトニッポンにリスナーをつなげようと、深夜0時から始まっていた番組。地元放送局が、局アナや地元タレントを起用して、若者リスナーとのコミュニケーションの場として、当時道内の高校生に絶大な人気を誇った。

 

    オールナイトニッポンと同様に毎日パーソナリティが変わるから、毎日聞いていて飽きない。番組を聞きながら勉強をしている時は、あまりはかどらなかったが、勉強に疲れた頭には心地よかった。平日だからオールナイトニッポンを聞くのはさすがにしんどく、このアタックヤングを聞いてから寝床に入るのが習慣であった。

 

    パーソナリティで印象深いのは、田中義剛酪農学園大学を出て、シンガーソングライターとして北海道で活躍していた。津軽なまりの独特の語りかけに人気があり、道内では歌もそれなりにヒットした。将来は歌って踊れる酪農家になりたいというビックな夢を当時から語っていた。地道に北海道で活動する姿が東京の芸能関係者の目に留まり、メジャーデビューを果たすが、歌手というよりマルチタレントで売れっ子となった。今は中札内村で酪農業を営み、「花畑牧場ブランド」を全国に広める実業家であるが、若い頃この番組で訴えていたことを本当に実現させた有言実行の士でもある。

 

    あと記憶に残るは春日和彦というアナウンサーが担当した日。彼の場合は、番組内で心霊コーナーがあったから。それは、アーチストが収録したアルバムレコードに、よくよく耳を澄ませば、あり得ない音や声が入っている曲を紹介するというもの。伴奏や前奏・間奏、歌の最中に、本人の声でもなく、音楽でもアレンジでもなく、明らかに人の声や違和感のある音が紛れ込んでいる、いわば心霊ミュージック。春日パーソナリティはリスナーが発見したそれらのレコードをかける前にポイントを解説。「それでは聴いてみましょう」との合図とともに静かにその曲が流れ、私はポイントとなる部分を集中して聴き入る。背筋がゾクゾクな時もあれば「?」の時もあり、毎度このコーナーを緊張感をもって聴いていた。

 

   心霊ミュージックは、スタジオで録音する際に心霊的な音が入るようである。あまりにインパクトのでかい現象だとその夜眠れないというおまけがついた。

    もう一度心霊音楽を生で聞いてみたいがレコードでないのが残念である。

 

   ラジオ番組はわが青春の娯楽の一ページだったとノスタルジックに浸る自分がいた。

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今の娯楽の殿堂は何だろうか