笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字695は「夫」。夫源病には要注意

今日の漢字は「夫」。夫婦、夫妻、水夫、農夫。

 

   婦源病や夫源病、主人在宅ストレス症候群という言葉がある。

   男性は、社会的役割を失うと急に勢いを失う。定年後、最初のうちは仕事や煩わしい人間関係から解放されてのびのびと暮らしている。しかし長い会社生活で、「やらなければならない仕事」だけをこなすうちに、自分で「やりたい仕事」がなくなり、自分から動けない人になる。自分から動かず、人と関わらず、ひとりで過ごしているうちに、やがて心身に失調をきたし、認知症になったり、うつ病になるケースも少なくない。

 

    元々趣味がなく、人付き合いも好きではないというタイプの男性の場合、定年後は人と関わることが極端に少なくなる。やることもなく家でゴロゴロしていると、妻からは批判的な態度を受ける。それに対して自尊心が傷付けられて、症状がエスカレートしていく。これを「婦源病」という。それまでの仕事人間から地域人間への軟着陸できればいいがそうでないとストレスを誘発する。妻のサポートを得ながら地域人間にトライする人もいれば、自分から動いて自らの立ち位置を切り開く人もいる。

   そうするためにも、好奇心をもって自分の生活を楽しむ工夫が大事である。

 

   会社勤めをしているときは、妻の行動に無関心だったのに、定年後は朝から晩まで家にいて、やれお茶だ、やれご飯だと催促し、妻が出かけようものなら、「どこに行く」「何時に帰る」などとやたらと興味をもつ。そのような夫の過干渉に妻は強い束縛感を感じ、なんらかの不調を感じるもの。長年にわたり築いてきたライフスタイルが、夫の定年退職によって維持できなくなり、ひどい場合にはうつ病になることもある。夫が一日中在宅するようになることで、妻が病気になってしまうのである。これが夫源病となる。

 

    夫の定年がきっかけで夫婦仲が悪くなり、熟年離婚するケースもある。最近はあまり耳にしないが、「濡れ落ち葉」で、妻にべったりの夫を揶揄する言葉もあった。だから夫婦はつかず離れず、適正な距離が必要である。「男はこうあるべき」「夫はこうあるべき」の先入観を捨て、お互いのいいところ、悪いところを再確認し、お互いの不完全さを許し合い、受け入れる器量が必要である。

 

   そういう意味では、定年という節目は、夫婦にとっても新しいステージに踏み出すためのチャンスでもある。

   地位や資産ではなく、相手のいいところを発見する努力をする。間違ったことをしたら謝る、お互いに感謝の気持ちをもつ、そうした日々の積み重ねが長寿時代の夫婦生活を円満に過ごす秘訣だと思う。

  それ以前に夫も妻を必要以上に束縛せず、ひとりで楽しめる時間をもつように努力をしてみることである。

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