今日の漢字671は「卒」。卒業ソングの季節である
今日の漢字は「卒」。卒業、新卒、卒寿、卒論、高卒、脳卒中。
毎年この時期になると、卒業式の卒業ソングで何を歌うのかというのがある。しかし今年はコロナ禍で合唱することは厳しいだろう。昨年に引き続き学校側の対応も大変だろうが、昨年は卒業式すら出来なかったから、まだ今年はいいのかもしれない。
道内ローカル放送局のとあるラジオ番組で、「卒業ソング特集」をリスナーのリクエストからランキングで紹介していた。
10位ベストフレンド(西野カナ)、9位マイ・グラディエーション(スピード)、8位恋のダイヤル6700(フィンガー5)、7位じゃあね(おニャン子クラブ)、6位空も飛べるはず(スピッツ)、5位グロリアス(GLAY)、4位Best Friend(kiroro)、3位卒業(尾崎豊)、2位想い出がいっぱい(H2O)、1位贈る言葉(海援隊)。
昭和から平成にかけての卒業ソングの名曲の数々であるが、個人的にこの中でいいと思うのはH2Oの想い出がいっぱい。この曲が流行った当時は、あだち充原作のテレビアニメ「みゆき」の主題歌として歌われており、生で番組を見ていた私としては、青春の1ページを飾るこの曲が強烈に印象に残っている。考えてみればH2Oはこの曲しかヒットしていないから、ある意味一発屋だった。しかしそれでも30年以上経過しても今なお人々の心に残る曲として歌われているのは、本当に嬉しい。
では、それ以外の卒業ソングは何か。
かなり古いが柏原芳恵「春なのに」。「春なのに、お別れですか。春なのに、涙がこぼれます」。春は本来、冬の厳しさから解放され、待ち望んだ季節の到来とともに心に温かみが増し、ワクワクする時期。それなのに春は反面、お別れの季節でもあるということが、せつなく、悲しい。卒業するということは、仲のいい仲間たちとお別れすることであり、それ自体が悲しいという、多感な若者の儚い心情を綴るこの歌は卒業式にぴったりだと思う。
少し時が移り、斎藤由貴「卒業」。「卒業式で泣かないと、冷たい人と言われそう」のサビの部分の、斎藤由貴の透明感溢れる声がしなやかで美しい。これまた春の悲しい時期に聞く曲としてグッとくる。
お次はアンジェラ・アキの「手紙~拝啓15の君へ」。これはいろいろな学校で、卒業ソングで歌われたのではないか。ピアノの伴奏だから歌いやすいし、先生もピアノを弾きやすい気がする。最近アンジェラ・アキは見かけないが元気なのだろうか。
最後は森山直太朗の「さくら」。こちらも名曲である。森山氏も、ほぼこの1曲しか印象に残る曲がないが、あまりにもこの曲が良すぎて、逆に損をしている。さくらを表現する曲は掃いて捨てるほどあるが、やはり桜=別離、儚さ、散りゆく淋しさのイメージと、卒業=別れのイメージと連動して、心に訴える力がある。
私の時代の40年前は蛍の光と校歌くらいで終わっていた。今思うと味気ないが、逆に今は身近な卒業ソングを皆で歌うことで式を盛り上げようという気分も沸くし、先生も思い出に残る卒業式を生徒に体験させてあげたいという親心もある。いろいろな選択肢がある現代の中高生はうらやましいと思う。