笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字621は「不」。不意打ちの絶景パート2は道外編

 今日の漢字は「不」。不足、不相応、不調、不変、不渡り、不機嫌、不始末。

 

不意打ちの絶景道外編を考えた。

道内編はこちら。

 

laughing-egao.hatenablog.com

 

 

   不意打ちの絶景とは、まったく予想していない絶景に出会うこと。

   北海道人がいうところの本州以南、いわゆる「内地」の不意打ちの絶景について思い出す。

 

   一番記憶に残る不意打ち絶景は、九州は開聞岳の頂上から見た景色。

    学生時代、緩い山に登ることを趣味としていた私は、九州旅行をした際に、薩摩富士と言われる開聞岳に登山したいと思い立ち、指宿を目指した。前日、街のユースホステルに泊まり砂湯を堪能した際、仲良くなった一人旅の男性と開聞岳登山の話で盛り上がり、2人で山頂を目指すことになった。

 

    息を切らしてトコトコと登り、山頂に着いて見た360度パノラマには度肝を抜かれた。南は東シナ海、その先に浮かぶ屋久島、眼下には、指宿の町とうなぎで有名な池田湖、遠くに桜島と見どころ満載。登った者しか味わえない絶景に息を飲んだ。30年以上前の体験だが、山頂に行くことだけを目的にあまり景色を期待していなかっただけに、まさに私のKING オブ不意打ち絶景であった。

 

    お次は岩手の久慈。NHK連続テレビ小説あまちゃん」を見て、いつか久慈に行ってみたいと思っていた私にそのチャンスが訪れた。当時青森に一時期住んでいた私は、八戸経由のローカル線に乗りひとり久慈を目指した。久慈駅からあまちゃんのロケ地、小袖海女センターへはレンタサイクルで40分程度。不意打ち絶景はそこに行く過程に海にそそり立った奇岩の数々。地図上ではギザギザと続く荒々しい岩の中を縫って走る道路をチャリで進む。おーこれがかの有名なリアス式海岸か。中学校で習った地理を思い出した。扇状地、三角州とならんで地形ベスト3と私が勝手に名付けた地形が、今ここにある。初めて見たリアス式海岸ははるか南の海岸にむかって、果てしなく続く。男性的な荒々しさに感動を覚えた。小袖海女センターよりも、そちらの方が強い印象に残っている。

 

   最後は新宿御苑から見た新宿の摩天楼。

   子供を連れて新宿御苑へ行ったときのこと。公園は広大なスペースがあり、小さな我が子を遊ばせるには便利。ふと新宿方向を見ると、公園の木々からにょきりと突き出たビル群が恰好いい。ニューヨークの摩天楼は見たことはないが、それに匹敵するかのような威容を誇るビル群を見て、何だかニューヨークに来たような錯覚を受けた。特にNTTドコモのビルが、四角錐形の屋根で、三角形の先端が空に突き出るデザイン。日本離れしていて、まるでエンパイア・ステート・ビル。箱型ののっぺりした建物が多い高層ビルの中でひときわ異彩を放っていた。公園にいたからこそ気づいた絶景だと思う。

 

    何気ない風景が自分の心の琴線に触れるためには、漫然と景色を見るのではなく、感性を研ぎすますように見なければ気づかない。雑誌やネット、インスタにあふれる風景は、誰もが認めるお約束の絶景であろうが、その場所に行って写真と同じ景色を確認するだけの作業はつまらない。何気ない風景が魂をゆさぶるような感性を常日頃から持っていたいと思う。

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不言実行は格好いい