笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字622は「米」。米にまつわる思い出を語ろう

今日の漢字は「米」。米飯、米価、米穀、新米、無洗米、米沢、久留米。

 

   米について考える。

   毎日新聞やネットでみかける「米」という文字。それはご飯の米ではなく、アメリカの米。米国や米大統領。漢字表記の「亜米利加」から来ているが、米といえばアメリカという意識が自然とすり込まれている。ちなみに中国では、アメリカのことを美国というらしい。国が違うと表現も違うものだ。

 

    ご飯の米という点では、北海道のお米は、昔は美味しくなかった。米どころと言えば、新潟や秋田が有名であるが、これらには味は遠く及ばなかった。北海道では積雪寒冷な気候が災いして、よい米が取れなかったが、潮目が変わったのは、平成初頭にきらら397が開発された頃から。おいしいお米を作りたいとの開発者の執念が実り、きらら397は北海道の美味しいお米の代名詞として、大人気となった。その後も品種改良は続き、今は、ななつぼし、ゆめぴりかなどが北海道米ブランドとして流通している。マツコデラックスが北海道米販売促進のメインキャラクターで起用され、テレビCMで美味しそうに北海道米を食べるマツコが印象的だった。

 

    米の思い出としては、給食。といっても、私の小・中学校では、給食に米というものが一切出なかった。9年間1度も、である。昭和中後期の当時は、何の疑念もなく、毎日パンを食べていた。だから今の子供たちに大人気のカレーライスも無く、カレーといってもカレースープにパンという味気ないものであった。

    そもそも米の給食が無いから、「日本の給食はパンしかない」と洗脳されていたのかもしれない。

 

    なぜ、あの頃、パン食ばかりだったのかは、大人になってようやく気づいた。それは、米国で生産が拡大した小麦を日本に輸出し、大量に消費してもらう戦略に日本が従わざるを得なかったこと。大量に日本に輸入された小麦を消費するためには、給食で消費するしかない。その影響で日本は逆に米が余る状況となり、米作農家が減反政策として、別の作物への転換を余儀なくされた。

 

   だから今の小・中学生は米が食べられて羨ましいと思う。

 

    米の思い出のひとつは、中学校の理科の先生。問題を出されて答えを間違うと、あーでもないこーでもないと回答を訂正され、最後に「あー米粒ひとつ減った」と嫌味を言った。

    要するに誤答を正すために自分が説明に費やした無駄なエネルギーのことを、お腹の中にあったご飯がひと粒分消費されたことのジョークを意味したものであったが、生徒たちには全く受けていなかった。

 

    あともうひとつ記憶に残るは、米を引き合いにした人材育成。とある会社の入社式がテレビに映っていて、登壇した社長が、緊張する新入社員に対して、「君たちは、おかゆではなく、おにぎりになってほしい」とエールを送った。私は「?」と思ったが、その後に社長が、「おにぎりはひと粒ひと粒がしっかりしていて個性がある。その個性を光らせて存在感を出してほしい。おかゆのようにふにゃふにゃと会社に埋没するのではなく、しっかりと地に足を着けた仕事をしてほしい」と述べた。

    おーこの社長はなかなかいいことを言うな。米と新人をかけるとは、粋な表現だと感心したのであった。

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アメリカは米利堅(メリケン)とも言った