笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字617は「意」。不意打ちの絶景というものがある

今日の漢字は「意」。意見、意義、真意、意味、決意。

 

不意打ちの絶景というものを考えた。

 

    名所、旧跡や自然が織りなす絶景はネットやガイドブック、インスタなどで情報が溢れていて、その場に行ってみて、「ああ写真と同じ景色で素晴らしい」と納得して帰ってきたり、自分がイメージする絶景と違い、「ええこんなもん?」とがっかりすることなどいろいろなパターンがある。ただ、感激するにしても残念に思うにしても、総じて記憶に残るものである。

 

    しかし時に、全く予期していない絶景に心を奪われることもたまにある。「これは凄い」と不意打ちをくらって感動した、予期せぬ絶景について思い出してみたい。

 

今回は北海道編。

 

   私は一時期、日本海側のとある町に住んでいたことがある。

    もともと出身は内陸地で、海沿いに住むのは初めてで、しかも住まいは日本海が見える高台にあった。だから毎日、海が見られ、住み着いた時には「オーシャンビュー」だと喜んだものの、本場ハワイのホテルからワイキキビーチを望むオーシャンビューにはほど遠く、冬の寒い日には、荒れ狂う日本海を見て、寂寥感が湧き出てくる寒々しいものだった。

 

   そんな日本海であるが、住んで最初の初夏に見た日本海に沈む夕日がまさに「不意打ちをくらった絶景」であった。海に沈む夕日はさまざまなシチュエーションで語られる。例えば留萌には夕日が見える公園があり、カップルがデートするスポットとなっているが、私が住んでいたところはそんなおしゃれな公園はなく、ただぼーっと海を眺める高台しかなかったが、ある日、その夕日が素晴らしく綺麗であった。思わず写真を撮ってしまうほど。結局太陽がすべて水平線に沈むまで20~30分、ただひたすら海を見ていたのであった。

 

   もうひとつは、利尻山を初めて見た時の不意打ち。

   初めて稚内を訪れたのは、仕事の関係で札幌丘珠空港から稚内へフライトした時。空港からレンタカーを借り、稚内市内を通り抜け、日本海沿いを南下し、天塩町に向かって走っていた。

 

    カーブを曲がったところ、急に右斜め前方に、どでかい要塞のように浮かび上がる利尻山がもの凄い存在感を放って鎮座していた。「おお」感激のあまりうめいてしまった。まさにいきなり現れた絶景。海にぽっかり浮かぶ富士山とでも形容すべきか。富士山は頂上が平らだが、利尻山は先が尖っていて男性的。それがまた天に突き抜ける威容を誇っていて、我々は車を路肩に止めて、しばし見入った。

 

   実は、鉄路で旭川方面から稚内に入る場合は、稚内に入る手前の電車の車中から左側にぽっかり利尻島に浮かぶ利尻山が拝める。しかし空路で稚内に入った場合、空港は利尻山とは逆方向にあるから、稚内市内にしか行かないのであれば、利尻山を見ることなく終わってしまう。しかし日本海側に車で南下していくと、ばっちり利尻山の威容が堪能できるのである。

    全く予期していなかっただけに得をしたような気分であった。

 

    ガイドブックにもネットにも載っていない景色がいきなり現れるという、全く予想しない風景が展開されると、びっくりすると同時に凄く得をした気分になるのがいい。何気ない景色にも、一瞬でも心が震える瞬間があるということを常日頃から気にしておくのもいいと思う。

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