今日の漢字544は「講」。ライフプラン研修で講師は無茶振りした
今日の漢字は「講」。講習、講演、機構、構造、虚構、構内。
ライフプラン研修でこんなことがあった。
この研修は、会社にいるうちから、定年後の過ごし方を丁寧に指南してくれる研修で、会社べったりではなく、自分で老後のことを長期ビジョンをもって意識せよとアドバイスをするもの。
担当の講師は参加者にこう語りかけた。
「突然ですが今からお二人の方に自己紹介をしていただきます。ただし、会社や仕事の話は一切禁止します」。続けて、「会社や仕事、役職以外の家族、趣味、特技、夢など、会社の鎧を脱いだ自分は何者なのかという観点から自己紹介してください。では前列にいる、まずはAさん、お願いします」。
と無茶振りをした。
突然指名されたAさんはいきなりの指名にびっくり。しかし拒否するわけにもいかず、戸惑いながらも自己紹介を始めた。「○年に生まれ、○高校、○大学を出ました。家族は妻と高校生の子供1人と犬一匹がいます。犬は○才で散歩は朝晩私がしています。えー趣味といわれても特になく、無趣味です」と言ったきり、そのあと続かず。無言のまま時間が過ぎていき、予定の3分となった。
講師「はい、ありがとうございます。それでは次、お隣のBさん」
Bさんも同じように、「○○出身です。海のそばで産まれたので、魚が大好きです。札幌に家を建てて、両親は既に他界したため、故郷に行くことは滅多にありません。定年後は故郷に戻りたいと画策しつつも、妻に反対されることを恐れています」という趣旨のことを述べ、それ以上続かず。3分が過ぎた。
二人とも会社以外のことをしゃべるのは全く苦手のよう。
大体自己紹介で会社以外のことを話すネタがない。いきなり指定された二人は準備にほとんど時間がかけられず、ぶっつけ本番なら無理も無い。
会社を離れて社外の活動やボランティアなどさまざまなことにチャレンジしている人は、いろいろ話すネタがあるだろうが、「そんなことは考えたことがない」という人にはなかなかの苦痛である。
講師は、「今のお二人はいきなりの指名で考える暇もなく、申し訳ありませんでした。今お話しいただいても、会社以外のことを話すネタがないということが、おわかりいただけたかと思います」。
「定年後は昔勤めた会社名や肩書きは何の役にもたたず、誰も興味を持ちません。それより「この人はどんな人か」に興味を持ちます。その素の自分をどう出せるかで、その後の人生の充実度合いが違ってきます。だから、会社の鎧を脱いだあと、会社のこと以外で自分は何を社会で表現できるか、考えるきっかけのためにこの研修があるのです」と述べた。
会社にどっぷりの人生を歩んできた人は、会社の鎧を脱ぐと何も残らない。
そうならないように、趣味をもったり、学んだり、教えたり、会社を離れた後もいろいろなことにチャレンジして充実した老後を送れというメッセージなのである。
そんな講師の言葉を自分事としてとらえ、自分なりのエア自己紹介を夢想してみた。
「私の夢は今まで3つありました。ひとつはフルマラソンを完走すること、ふたつめはクイズ番組に出ること、三つめは本を出版することです。
フルマラソンは、走ることを習慣化して10キロからハーフを経て、10年前にフルマラソンに初挑戦してから、かれこれ10回は走ってきました。
二つめは、長年の夢だったTV番組「アタック25」に出場しました。予選のために勉強し、予選を通過し、大阪で行われた本大会に出ました。パネルは7枚で優勝はできませんでしたが、クイズ番組に出る夢は叶いました。
残る夢は本を出版することで、これはハードルが高く実現できていません。人生は長いので、まだチャンスがあると思い、その夢が実現できるようチャレンジしたいと思います」
私は「夢」をキーワードでエア自己紹介を考えたが、夢はいくつになっても持てると信じて、今後もチャレンジしていきたいと思う。