今日の漢字545は「幸」。日本人の幸福度はなぜ低いのか

今日の漢字は「幸」。幸福、幸先、ご多幸。真田幸村。

国別の幸福度ランキングというものがある。

日本は156ヶ国中62位。

ベスト10は、フィンランド、デンマーク、スイス、アイスランド、ノルウェー、オランダ、スウェーデン、ニュージーランド、オーストリア、ツクセンブルク。みな先進国である。

日本はもっと幸福度が高くてもいいと思うが、客観的な豊かさに主観が追いついていないように思う。

日本が幸福な国だと思えるくらい豊かな客観的要素は、山ほどある。

・治安がいい

・長生きできる

・おいしい食べ物がたくさんある。魚の幸、山の幸は豊富、食材は輸入できる。海外の食べ物が味わえる

・自然が豊富で四季がある。歴史や文化の継続性がある。水が豊富。お米が食べられる。モノに溢れている。お金をだせば、欲しいものは概ね手に入る

・デフレで物価は高くない

・高レベルな医療が受けられ、負担もそう高くない

・教育のレベルが高い。識字率がほぼ100パーセント

・中程度の福祉が受けられる。年金がもらえる

・宗教の対立がない。人種間の差別が大きくない

・インフラは整っている。電車は正確。停電もない

・民主国家。デモでしか法律制定拒否ができない国に比べたら、一応民主的に議論する土壌がある。

・基本的に勤勉で真面目な国民性

諸外国と比べても、これだけ豊かな国家レベルにも関わらず、幸福度が低いという理由は何か。

私なりに考えた。

・自慢しない国民性。出る杭は打たれるの精神性から、自分だけが幸福とは主張できない。自分が幸せと言えば妬みとバッシングを受ける怖さ。結局はなんだかんだで、いまだに閉鎖的なムラ社会。

・ネガティブな国民性。何でも反対に考える心配性の思考力。年金はどうなる。国の借金はどうなる、少子高齢化はどうなる。マスコミのネガティブ報道を真に受けて、自分で考えない他人任せの思考が蔓延している。

・他国の悲惨さがわからない。海外旅行や海外で生活する日本人が少ないので、他国のことがわからない。内にこもっているから、日本の素晴らしさを実感できない。ネット情報だけでは、諸外国との比較を肌感覚でつかめない。

・他人はどう思うかを常に気にする。外国からどう見られているかを一番気にする国民は日本人だと皮肉めいた話があるが、自分がどう思うかよりも、人がどう思うかを気にしすぎる。

・世間の呪縛。世間体や自粛警察のように、目に見えない社会のプレッシャーがある。集団に居場所を求める国民性。若者は学校と友達に、大人は会社に依存。その居場所が作れなくなると幸福度は一気に低下する。拠り所が希薄な日本。欧米なら宗教や教会を拠り所とするが、日本人には無い。だから生きることに詰まると、神に助けを求めるのではなく、自分で解決しようと簡単に自殺してしまう。

・労働環境。働き方改革とテレワークの普及でかなり改善されてはいるが、働き蜂日本人の構造は変わらない。欧米は人生を楽しむために働くのに対し、日本人は働くことが生きがい。長時間労働が根絶されることはなく、息苦しい社会は変わらない。

・世界一厳しい消費者。サービス業はお客さまに媚びる姿勢となる。以前何かで読んだが、外国人にとって日本では、お客でいることは天国だが、サービス業に勤めることは地獄だと言っていた。お客のためにサービス残業やレベルの高い接客、クレーマー対応は、精神を病む。知らず知らずのうちに幸福度が低下しているような気がする。

安全、安心、民度も高い国民性という、他の国から見たら垂涎の国なのに、なぜか国民の幸福度は低いという不思議さ。

我々が小さい頃見た夢の国、チューブの中を走る車。ロボットがモノを運ぶ姿。宇宙旅行をする人々。地球は未来都市に一歩ずつ近づいているのに、反比例して冷たい社会、冷たい人間関係、心が冷たくなっていく矛盾。豊かになるということは人間を幸福にすることではないということなのか。そうであるならば、あまりにも悲しい。

もっと「日本人に生まれて良かった」と叫ぼう。