今日の漢字467は「助」。人助けの典型であるボランティアについて考える
今日の漢字は「助」。助手、助太刀、助っ人、扶助、救助、援助、助成金、助六寿司、猿飛佐助。
他人を助けたり励ましたりしていると自分も元気になってくる。
これをメンタル・ギブの法則という。電車で席を譲り、「ありがとう」と言われると、なんだか気分がいい。自分自身が気分爽快になる経験をしたことはないだろうか。
人はいい気分になれば、自分のことをもっと好きになっていく。そういうことを繰り返していけば自己肯定感も上がる。
会社を退職してボランティアをしている人を見るととても若々しい。人に喜びを与えるということは、自分に対しても喜びが与えられる。
誰かを助けたい、喜ばせたいという「他者愛」は自己肯定感をアップさせる。
(以上参考文献「脳は平気で嘘をつく」(植木理恵))
そんな効果があるとはつゆ知らず、単なるボランティアをしてみたいとの動機で初参加したのが、マラソン大会の給水ボランティア。
以前はフルマラソンに毎年挑戦していたが、体調不良を機に走るのをやめた。走っている時は、苦しい時の給水はオアシスであり、その給水所の裏方で働く人たちをランナーの立場から尊敬していたが、逆にそのボランティアの立場を経験してみたいとして、昨年夏の北海道マラソンの給水ボランティアに参加した。
参加者は老若男女20名。半数以上がフルマラソン経験者で、皆何らかの理由でボランティアをしたいと集まった。給水会場まではバスで移動。
給水を仕切る事務方の男性は、70代の高齢のおじいちゃんと60代のおばさんボランティア。毎年マラソンの給水ボランティアをしており、進行が上手。自己紹介で参加者の緊張をほぐすとともに、給水時の注意点などをてきぱきと説明していく。おじいちゃんボランティアは自己紹介で、定年後の生活の中でこの活動が生きがいになっていると言っていた。
給水会場に到着し、スタートまでの2時間あまり、机の配置、紙コップ、水の入ったペットボトル、ゴミ箱の設置など、慌しく準備を進め、ランナーを迎え入れる。
その給水所はスタートから20キロの地点であったが、あっという間に先頭ランナーが来た。疾風のごとく走り去る招待選手は我々の給水所には目もくれないが、そのあとの健脚を誇る素人ランナーたちは、怒涛のごとく給水所に殺到し、紙コップの水をつかみとっていく。我々はランナーと接触しないよう、細心の注意を払いながらひたすら紙コップに水を注いだ。
おじいちゃんボランティアは、指示を的確に出し、給水に疲れている人がいたら休憩を促すなど周りにも気を使う。
とにかく気持ちよくボランティアをしてもらおうという気遣いが心暖く感じられた。
給水は2時間ほどで終わり、バスで集合場所に戻ったが、最後のバスの中でもおじいちゃんボランティアは、今日1日のボランティアの感想を聞いたり、給水の運営面での意見を募ったりと、今後もマラソン大会の給水を影で盛り上げていきたいという熱意が感じられた。私もひと仕事した心地よさと、ランナーの走りを助け、お役に立てた充実感が入り混じり、初体験のボランティアは満足のいくものであった。
ボランティアが長生きの秘訣とはこういうこと。つまりボランティア活動をしたり、好奇心旺盛に活動したり、感動すると、脳の扁桃体が活性化する。扁桃体が活性化すると結晶性知能がアップする。結晶性知能とは、判断力や理解力をさすが、60歳を過ぎてもこの知能は伸びるらしい。だから「人のため」「人をいい気持ちにさせる」というボランティア行動は、扁桃体を通じて結晶性知能をアップさせる。そしてアンチエイジングが維持できる。だからボランテァイはいいのだ。
2018年の行方不明者の捜索で一躍有名になった81歳のスーパーボランティア尾畠春夫さんに限らず、震災時やイベントでのお手伝いなど、多くの中高齢者がボランティアで活躍している。やはり人間は自分のためではなく、人のため、人のお役に立っている時に輝けるということを胸に秘めておきたい。