今日の漢字534は「試」。札幌は試験販売のメッカである
今日の漢字は「試。」試験、試合、試食、追試、模試。
試験販売という言葉がある。
メーカーが作った新商品が売れるかどうか、全国販売する前に一定の地域で販売し、売れれば全国販売に踏み切り、売れなければお蔵入りするというもの。お菓子などは良くこの手法を取るらしい。
その試験販売を行う地域が札幌と静岡と聞いたことがある。
一説によると、札幌も静岡も文化的独自性がないことや、消費行動が全国平均に近い統計データがあるという。新しい物を違和感なく取り込みやすい進取性や積極性もあるらしい。
特に札幌の場合、リトル東京と言われるように、東京発のファッションや流行が割と早めに伝播される。女性は己の地域の独自性よりも、全国の流行にいかに早くついて行くかに視線が向いているように思われる。
だから新しい商品が出た際、東京や全国で流行っているかをまず調べる。札幌だけの限定商品だとわかると、新しいものに飛びつく気質から、まずは試してみようかとなる。
テストはお菓子だけでなく、飲料もある。業界では千3つと言われるくらい、1000点の商品を世に出しても、売れるのはそのうち3つだけという厳しい競争環境。消えた商品はそれこそ山のようにあるから、試験販売で成果を出すのも大変である。
以前、ある飲料メーカーから、試供品ですと言って配られた飲料を飲んだ。それは唐辛子を薄めたような飲み物。名前すら忘れたが、要するにカプサイシン入りの辛い飲み物を飲むことで代謝を良くし、汗をかくなどして健康にいいというコンセプトで作られた飲料。飲んで一瞬「?」。まさにハバネロを薄く甘く仕上げたような微妙な味。とても人に勧められるジュースではなかった。
案の定、試験結果が芳しくなかったのか、スーパーの陳列棚でその商品を見かけることはなかった。
健康にいいとの謳い文句はわかるが、味が美味しくなければ、消費者は二度とリピーターにはならない。美味しくて健康にいいという飲料があったら、お目にかかりたい。個人的にはポカリスエットが美味しいとは私には思えない。
試作品とはやや趣旨が異なるが、デリバリーサービスについても同様の動きが。最近ようやく札幌にもウーバーイーツが進出し、チャリでフードを運ぶ姿を見かけるようになった。しかしそれ以上に見かけるのが、WOLTと表示された水色のバックを背負って走るデリバリーサービス。てっきり東京から進出してきたのかと、東京の知人に聞いてみたら「知らない」とのこと。ネットで調べると、フィンランド発祥の企業で、日本では広島に続き札幌がサービス開始の2地域目だという。何でも激戦の首都圏に参入する前に、あまり競争のない地域で始める戦略だとか。
地方都市でまずは成功を納め、ノウハウを蓄積し体力を付けてから首都圏に打って出るという逆戦略。競争の少ない地方都市を実験台として、失敗すれば被害を最小限に抑えて撤退する算段。そういう意味では、それなりに人口がいて、街がコンパクトにまとまっている広島と札幌を選んだのは、賢い選択なのかもしれない。
新商品のリサーチだけでなく、サービスなどでも、まずは地方から試す時代なのである。