笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字1009は「灰」。噴煙に降灰は付きものだ

今日の漢字は「灰」。灰色、灰皿、火山灰、石灰。

 

火山の噴煙と降灰について。

「鎌倉殿の13人」が進行中だが、実はこの時代、富士山は活火山で噴煙をあげていたことが知られている。源頼朝の和歌で「道すがら 富士の煙もわかざりき 晴るるもなき空のけしきに」と詠んでいる。富士山の噴煙を見たかったが、よく見えない心情を吐露している。当時は東国から上洛する際は、富士山の噴煙を見ながら歩いていたのだと想像できる。

 

 日本には多くの活火山があり(110の指定)、今も日本全国、あちこちの火山で噴煙を上げている。有名なのは、桜島。あれほどの都市部に火山があるのは珍しく、ベスビオ火山のあるイタリアのナポリとよく比較される。テレビニュースで、ある晴れた日、鹿児島の街中を傘をさしながら歩く人が映っていた。これは日傘というわけではなく、降灰を避けるためのものだということをあとで知った。鹿児島県では、日々桜島の降灰予報が出されるから、それを見て傘を持つかどうか決めるのであろう。その場合は外での体育の授業は中止になるのだろうか。

 

 さて、火山による噴煙と降灰で記憶に残るのは、洞爺湖に近い有珠山の噴火。直近では2000年に噴火したが、その前は1977年にも噴火している。私が小学生だった1977年当時、住んでいた北海道の町は有珠山から100キロ近く離れていた。従って当時、降灰という事象は確認されなかった。有珠山の噴火の様子は新聞記事で読むくらいで、どこか人ごとであった。その約1年後、私は庭先で土を堀り返して中にいるダンゴムシをからかって遊んでいたが、その際、掘った地層の表面にはっきりと厚さ5センチくらいの火山灰を発見。ここまで有珠山の灰が降ってきたのだと知り、改めて噴煙の恐ろしさを感じたのであった。

 

 有珠山は定期的に噴火を繰り返す火山であり、観測者も「そろそろ噴火するか」の予測が立てやすいと聞いた。近辺には洞爺湖温泉街のホテルが林立するから、噴火が近いとなると、それなりの準備も必要である。2000年の噴火の際もかなりなダメージを受けており、いかに活火山と共存していくかが、今後の洞爺湖温泉の課題であろう。

 

 そういう意味では、準備しやすい有珠山はまだしも、不気味なのは富士山。1707年の噴火以降、300年以上噴火していない。噴火をすれば降灰により首都圏の都市機能が麻痺するのは間違いなく、政治、経済に大打撃を与えるだろう。それが近いのか、100年後なのかわからないところに、火山国の憂鬱な部分があるような気がしてならない。

f:id:laughing-egao:20220220144048j:plain

鍋料理では灰汁(あく)が出る