笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字806は「縄」。縄文遺跡が世界遺産に登録される

今日の漢字は「縄」。腰縄、縄跳び、一筋縄、自縄自縛、沖縄。

 

    世界遺産20番目に北海道・北東北の縄文遺跡群が登録された。

    北海道、青森、秋田、岩手の各地域の関係者にとっては、悲願の登録ということになる。2007年に活動をスタートし、苦節14年。随分と時間がかかったものだ。

 

    青森に住んでいた時に、「縄文遺跡を世界遺産に」の機運が盛り上がっていて、その事務局から会員勧誘のお誘いがあり、千円を払って会員になった。定期的に会報誌が送られてきて、熱心さが伝わった。

    青森県知事もえらく前のめりで、事あるごとにPRに余念がなかった。

    それというのも、青森市内には三内丸山遺跡という、どでかい遺跡群があり、観光名所になっている。私も2度ほど訪問したが、何と言っても無料で公開しているとことが凄い(今は有料のようだが)。縄文人の住居跡やお墓の跡など、1万年前の文化的価値の高いものがしっかりと保存されていて、歴史の学習をするにはもってこい。圧巻なのは、どでかい櫓。大型掘立柱建物というらしいが、一説には物見の台と言われていて、敵の襲来や獲物の動物を発見するためのものだったとか。真意は定かではない。

 

    元々、高台にあるこの地域は当初、野球場を建設しようとして工事を進めたものの、土の中から土器だの装飾品だのが大量に出土し、工事がストップ。代わりに一大縄文遺跡ワンダーランドと化し、すっかり青森の観光名所になってしまう。観光資源がねぶたしかない青森市にとって、第二ブランドとして「遺跡の街」を売り出すのは願ったり叶ったり。今回の世界遺産登録で、さらなる観光客誘致に弾みがつくことは間違いない。

 

    一方、テンションが今一つ低いのが北海道。函館などの道南地域や噴火湾に面する伊達市などには縄文遺跡が点在するものの、三内丸山遺跡ほどの大規模の遺跡群はない。貝塚など小粒な遺跡が点在するだけなので、世界遺産登録されても中心施設がなく辛いところ。えらく前のめりな青森県知事と違い、北海道知事のトーンは高くない。うがった見方をすれば、「北海道は縄文遺跡に頼らなくとも、観光客を魅了する観光資源がふんだんにある」と余裕の表情を見せているようにも見える。

 

    石見銀山や富士山、知床など、世界遺産になった途端に観光客がわんさか駆け付けた成功体験が関係者の記憶にあるから、登録を機に一気に観光客を呼び込む戦略はわからないでもない。しかしそれをPRするためのランドマークが必須である。三内丸山遺跡はまだしも、点在するちっぽけな遺跡群に「これだけ?」と観光客を残念に思わせないよう、岩手県秋田県の遺跡群も交え、縄文文化遺跡ツアーなど、修学旅行の学生や高齢者の興味を引くようなツアーメニューを用意しないと、すぐに飽きられる。4道県の、地域を超えた連携が必要だと思う。

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犬は縄張りを主張する