笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字1008は「軟」。脳を柔軟にするために常識を疑おう

今日の漢字は「軟」。軟球、軟着陸、軟弱、軟化、軟体動物。

 

 脳を柔軟にするために「常識を疑う」ことがある。例えば東大生は凄いという常識。クイズ番組に東大生が出てきて、多くの人が知らない質問に平然と答えていく。「何でこんなことを知っているのか。東大生は凄い」と知らず知らずのうちに東大ブランドが脳にインプットされ、東大生=崇拝の対象として偶像化されていく。

 しかし、そんな東大生は氷山の一角、あくまで一面に過ぎない。なぜそうかと言うと、私の出身高校の同級生で唯一、東大に進学したヤツがいたが、典型的なガリ勉タイプ。しかも暗くて人付き合いも悪かった。勉強ができるから賢いことは賢いが、友達も作らず勉強ばかりする彼が東大に合格したと聞いても全く凄いと思わなかった。頭はいいけど人間的に「?」がつくような東大生が自分の身の周りにいれば、「東大生は凄い」との一般常識に疑問符が付く。「東大生もピンからキリ。勉強だけで判断してはならない」との価値判断の尺度につながり、それが常識を疑う行動につながる。



 今や情報はネットで広く拡散し、同じような意見が多数を占めると、あたかもそれが常識だという意識が自然と作られていく。マスコミも視聴率欲しさに国民受けする耳障りのいい情報を好んで流す傾向があり、いつしか一般化していく。

 「仕事は会社でやるのが当たり前」「会議は皆で顔を付け合わせてやるもの」「飲み会は居酒屋でやるもの」「出張してセールスするのは当然」。これらの常識はコロナですべて覆った。

 

 また、よく礼賛される日本人の美徳的行動として、「東日本大震災では、被災地は略奪や強盗などほとんどなく、皆が助け合って生きていた」と紹介されていた。海外メディアも持ちあげ、「日本は災害が起きても他国と違って略奪など起きず、皆で助け合って生きる素晴らしい国だ」という常識が形成された。

 

 しかし私はこの常識がまったくの嘘であることに気づく。私がこの前、東日本大震災後の日本製紙石巻工場の復興を描いた本、佐々涼子著「紙をつなげ」を読んでいたら、こんな記述があった。著者は現地の住民に取材を進める上で、住民は、「金属バットを持ってコンビニのガラスを叩き割って侵入する盗人」や、「被災した食堂や居酒屋の冷蔵庫を漁る人間」などの輩が数多くいたと語っていたそうだ。まさに美徳とは裏腹の行動をしていた輩がいたことも事実なのである。被災して食べ物に困っていたのか、それとも単なる火事場泥棒かは判然としないが、得てしてこういう事実は表に出にくく、報道もされない。本を読んで初めて「決して皆がみんな、素晴らしい行動をしていたのではない」ことに気付かされた。

 

 人は同じような意見が多数を占めると、それが大多数の考えだと流されやすい。そんな時「これは本当に常識か?」と疑い、そうでない意見や情報に主体的に触れることも大事である。それが頭の中の常識をアップデートするとともに、心を豊かにし、多様性の時代に柔軟に対応できる姿勢につながっていくと思う。

 

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