笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字952は「罠」。需要創出の罠にはまるな

今日の漢字は「罠」。

 

冷たい緑茶、ペットボトルの伊右衛門を飲んでいてふと思った。

 

   ペットボトルの緑茶が出る前は、冷たい緑茶を飲むという発想がなかった。冷たい緑茶が発売されたのは、確か平成初期頃と記憶しているが、最初は戸惑った。あの頃はようやくペットボトルのミネラルウォーターも出回っていた。烏龍茶がちょぼちょぼ自動販売機で見かけた程度。当時若者の喉を潤すのは圧倒的にコーラやファンタの甘い清涼飲料水だった。甘くないのは飲み物ではないという意識が強かったが、いつのまにか冷たいお茶が市民権を得て、日本人の喉を普通に潤している。

 

    0から1を作る。無から有を作るのは、「需要創出」「需要開拓」とも言われる。冷たいお茶はまさに需要創出の一例であり、「お茶は熱いもの」の常識を覆したことが、新たな商品開発につながった。「常識を疑う」ことが消費者のニーズを掘り起こし、最初は「これが商品?」という消費者の驚きが、いつしかそれが当たり前になり、消費の一部と化すことはままあると思う。

 

    最近の需要創出で言えば、軽自動車。免許をとる女性が増えたことや、高齢者の増加、小回りのく利便性が受け、販売台数を伸ばしている。以前の軽自動車は安かろう、悪かろうのイメージしかなかったが、メーカーの努力で普通車と遜色ないレベルに仕上がっている。地方に行けば、夫は普通乗用車、妻は軽自動車の2台所有も多い。これまた運転しない人の需要を掘り起こし、自動車の購入につなげている需要創出の例といえる。

   あとは、テイクアウトコーヒー。「コーヒーは喫茶店で飲むもの」という常識を覆し、スタバやコンビニ、ファストフード店などでのテイクアウトコーヒーが当たり前となっている。

 

    今後の需要創出の未来像でいえば、電気自動車。先日トヨタが350万台のEVを生産すると発表したが、これも需要創出に近い取り組み。「ガソリン車がEVに変わるだけだろう」との向きもあるが、エネルギーの観点から見れば、「電気の需要を増やす」ことにつながる。電気の需要を0から1作り出すと考えれば、需要創出の一例と言えよう。

 

    資本主義の今の時代、各企業はいかに消費者の需要を掘り起こすかに躍起となっている。インターネットもアマゾンもラインも0から1を生み出した典型であり、それが世界に流布すれば一気に大金持ちというドリームがある。しかしその裏には、多くの失敗した開発商品、消費者からそっぽを向かれ全く売れなかった商品、競争に敗れて消えた商品など、まさに星の数ほど多いのも事実である。具体例を言えば、3Dテレビ、コンビニドーナッツ、透明コーラなど。

  我々は新しい商品による恩恵も多く受けたり、幸せな気分になる反面、「これは本当に必要な商品か」という冷静な目も必要であり、需要創出の罠にはまらない見方も大事である。

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罠を仕掛けるには頭を使う