笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字419は「座」。ロマン座の記憶が甦る

今日の漢字は「座」。座席、座禅、正座、玉座、座長、座談会、土下座、座布団全部持ってけ。

 

     15年前に東京に住んでいた時、会社の男連中がエッチな話で盛り上がり、社会見学と称してストリップ劇場に行くことになった。

 

   いろいろ探すと、適地は浅草にあるロック座。ストリップの殿堂らしい。

    それまでそんな劇場に行ったことはなかったので、興味津津。ストリップ劇場は、若干年増な踊り子さんが、ピンク色やオレンジ色の光を浴びつつ妖艶な踊りを披露し、それを中年のオヤジ達が野次を言いながら囃し立てるイメージであった。

 

    その日は会社を定時に終え、残業もせずにワクワクしながら集まった男ばかりのおよそ10人ほどの同僚たちは、まずは景気づけに浅草の居酒屋でビールを飲みながら小一時間ほど談笑し、戦場に赴く戦友としての一体感を確認。参加者は全員がストリップ劇場初心者であり、ただ見に行くだけなのに、なぜか興奮気味。動物園に遠足に行く幼稚園児のようにはしゃいだ。

 

    そしてほろよい気分でロック座になだれ込み、チケットを買って入場。内部は正面に舞台があるごく普通の劇場。客は多くない。平日の夜であるからして、空席の方が多いには当然か。

    突然ピンク色の照明がチカチカしだし、音楽が流れ、舞台の袖から踊り子さん登場。年齢は映画やドラマで見てイメージしていた年配の方ではなく、若い女性。風貌は平均点以上の可愛さで、さすがストリップの殿堂と呼ばれるだけはある。んー期待が持てる。

 

     しかも踊りは、男心をくすぐる妖艶の踊り。そのうち一糸まとわぬ姿となると、どこからとなく口笛が飛んだ。

    踊りはクライマックスに向かっていくのではあるが、逆に私の本心は踊りの盛り上がりと反比例するように冷静になっていった。同僚たちは静かに、かつ食い入るように舞台を凝視している。私は行く前のワクワクした表情は消えうせ、酔いもすっかり覚めた。こういうところが天の邪鬼なところでもあり、A型の真面目な性格が出てしまう。

 

   1時間半ほど観賞してお開き。グループのリーダー格のメンバーがここが潮時と目配せし、退散することにした。

 

    そのあと浅草に戻って反省会と称して居酒屋で飲んだが、初体験に興奮する輩もいれば、期待の大きさに反して逆に幻滅した者、「いい社会勉強になった」と、今後の雑談のネタにしようとするなど、十人十色の感想であった。

 

    ストリップ劇場に行った15年前の当時はネットもようやく広がりを見せ始めた頃。刺激的な映像が溢れる現代において、ロマンポルノのような映画も今は流行らないだろう。

 

    当然ながら私はそれ以来一度もその手の劇場に足を運んではいないが、近年のショーはどのように進化しているのか、再訪してみたい気分である。

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