笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字626は「採」。ジャンプ競技の採点について考えた

今日の漢字は「採」。採光、採用、採集、採択、採算。

 

   スポーツは時間を競うものもあれば、単純に点をとる競技、技や美しさを競う競技などさまざまな採点基準がある。一番分かりやすいのは、陸上競技やマラソン、水泳などの時間が判断するもの。いかに早く競技を終えるかを競うもので、人間の介在する余地がない。極めて分かりやすいし、誰からも文句を言われない明快さがある。

 

    それ以外のスポーツでは、必ず審判という人間が介在する。野球、サッカー、バレーボール、バスケットボール、ラグビーなどの球技や、柔道、相撲、剣道、重量挙げなど、ルールに則るか逸脱しているか、また決められた技ができるかどうかは、審判(行司)が判断する。しかし時に審判には誤審というミスも起こる。記憶を辿れば篠原信一がオリンピック柔道で内股すかしの技が技と認められず金メダルを逃したことや、2年前のJリーグ浦和VS湘南戦で、湘南の明らかなゴールを審判が全員見逃すなど、人間が介在すると、絶対的に正確無比な判断はないという事実に気づく。

 

    さらにルールではなく、美しさを競う競技、例えば体操競技やフィギアスケート、シンクロナイズドスイミングなどは、演技の形が決まっていて、その演技の難易度がどれに当てはまるかを点数で競う。これはまた採点者の恣意性の高い競技でもある。採点者の見方によっては、0.1ポイント差で優劣が決まる残酷な競技であり、採点者の主観のちょっとのずれが、競技者の今後を大きく左右するというのは考えてみれば恐ろしい。しかしフェアプレーに徹する当の競技者たちは、点数が低いからといって採点者を決して恨むことをしないから凄いと思う。

 

    アバウトな主観という意味では、先日見に行ったジャンプ競技の採点が面白かった。

    何が面白かったというと、ジャンプは飛距離と、飛ぶ姿勢の美しさ、いわゆる飛型点を競うのだが、その飛距離の計測がえらくアバウトに映ったからである。

    私は札幌オリンピック冬季五輪が開催された大倉山ラージヒル競技場でジャンプの大会を見た。場所は120メートルくらいに選手が着地するランディングバーンのそば。そこには飛距離をはかる計測員のおじさんが、20メートルに1人くらいの割合で配置されている、ジャンプで着地した選手の飛距離は50センチごとに刻まれるから、例えば115m50などとコールされる。しかしよく目を凝らして見ると、着地した場所が本当に50センチの誤差の範囲内で合っているか微妙だということ。ジャンパーもかなりな速さで着地するから、目視で降りた場所を正確に視認するのは難しそうに映る。計測員もどうも「だいたいこれくらいかな」という感じで、数字の入ったサイン看板を指さす。しかしジャンパーとしては、50センチであれ、その差で順位が変わる可能性がある。「そんなアバウトな計測方法で本当にいいのか」と私は心の中で呟いていたが、ルールはルールだから選手から苦情は出ないのだろう。

 

     今やGPS機能で簡単に距離も測れる時代。何かのセンサーを付けて計測すればより正確な距離がでるはず。オリンピックで金メダルと銀メダルでは雲泥の差。それがたった50センチで優勝を逃したとなれば、「きちんと計測しろ」との苦情が巻き起こらないか心配である。そんな昭和時代と変わらない採点方法をいまだにしているジャンプ競技に進化というものがあるのかと考えてしまった一幕であった。

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