今日の漢字627は「彩」。夜の空を彩る花火の思い出
今日の漢字は「彩」。彩飾、水彩画、迷彩服、精彩を欠く。
夏の夜を彩る花火。今は冬だが、敢えて花火について考える。
日本の3大花火大会としては、秋田大曲、新潟長岡、茨城土浦が有名である。
北海道は、札幌の豊平川の北海道新聞花火大会と帯広、十勝川の十勝毎日新聞社の花火大会が有名である。
以前は豊平川での花火大会は、消滅した北海タイムス新聞社、朝日新聞、道新の各新聞社が主催の3つの花火大会が7月に開催されていたが、スポンサーなどが撤退し、今は道新ひとつだけとなり寂しい限りである。
帯広の十勝川のふもとで開催される勝毎花火大会は、道新の花火大会以上の規模を誇り人気がある。札幌からバスツアーがあるくらいである。十勝毎日新聞は地方新聞社でありながら、帯広では道新以上の購読部数を誇る。この花火大会も勝毎の威信をかけた大会で、花火の規模は全道一と言われている。
豊平川花火大会は河川敷にピクニックシートを敷いて、ビールを飲みながらのんびり見るシーンが定番。7月第3週か4週の金曜日に開催されるが、7月といえども札幌は涼しいというより寒い日もある。そういう時にビールを飲むと、トイレが近くなって困るし、帰りの地下鉄も大混雑で苦しい。ただ、この花火大会が終わると、いよいよ道都にも短い夏が訪れるとして、夏の始まりの風物詩として定着している。
花火の思い出をひとつ。入社2年目の頃の話。
会社の寮で酒盛りがあり、食堂での宴会で飽き足らず、部屋飲みと相成った。なぜか私の部屋で2次会に。
みんなは、ぐでんぐでんに酔っ払っているなか、一番年長の先輩が花火をやろうと言い出した。
早速一番下っ端の新入社員がコンビニに花火を買いに行き、30分ほどして部屋に帰ってきた。
すると、その先輩社員がいきなり、「ここでやるべ」と言い出した。
「えーこの部屋で?」とびっくりする私と一同に対し、先輩は「いいだろう。線香花火をするだけだ」。
唖然とする一同をよそに、酔っ払った年長者の先輩は早速線香花火1本を取り出し、部屋の電気を消したあと、ライターでおもむろに火を灯けた。チリチリ・・線香花火が部屋の中で静かに燃え始めた。
ジリジリ・・。廊下に鳴り響く大音量の火災報知機。そりゃそうだ。線香花火の煙が部屋に充満するものだから当たり前だ。廊下に飛び出す人々の気配がする。
「やベー」。大音量のベル音を聞いて、年長者の先輩は一目散に私の部屋から逃げ出した。
残ったメンバーは慌てて線香花火を消し、花火を片付け始めた。
そうこうするうちに、寮の管理人のおじさんが部屋にやってきて、「何やっとんじゃーお前ら。火事にする気か」ともの凄い剣幕である。
残された我々は、こっぴどく管理人から説教された。(最終的には始末書を書かされることになるのだが。先輩ももちろん共犯者として始末書に名を連ねた)
うなだれて皆が去ったあと、私は自分の部屋の床に敷かれた絨毯に黒い焦げ跡があるのを発見した。そうか、線香花火の燃えカスが絨毯を焦がしたのだ。黒く丸い跡を見ながら、俺らは一体何をしていたのかと自虐的に反省したのであった。