笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字1035は「襲」。二代目を襲名するのも大変だ

今日の言葉は「襲」。空襲、襲来、逆襲、踏襲、世襲

 

「襲」という文字について考える。

 真っ先に思い浮かぶのは、襲来や襲撃。朝日新聞阪神支局襲撃事件。記者2人が悪党に散弾銃で打たれる悲劇があった。或いは、たけし軍団フライデー襲撃事件。行き過ぎた取材行為に激怒したたけしが、軍団員を引き連れて殴り込み、写真週刊誌を発行していた講談社に殴り込みに行く前代未聞の事件があった。最近ではあまり襲撃という言葉は聞かなくなったような気がする。

 

 襲来。有名なフレーズは蒙古襲来。ご存知元寇。日本史上唯一侵略行為を受けたこの闘いは、日本人の誰もが知る鎌倉時代の一大事件。最近では見かけない言葉も、文字を変えて表現されることがある。それは「猛虎襲来」。阪神タイガースが連勝街道を突き進む場合、決まってこのフレーズがスポーツ紙を賑わせる。「猛虎」という言葉は阪神ファンにはたまらないリスペクト用語であり、強い元寇=強いタイガースを想起させる猛虎襲来は、ここぞという時のテッパンネーミングである。

 

 他にも奇襲、逆襲など、「おそう」意味合いで襲の字が使用される。以上のどの言葉にも一種の「不意打ち」のニュアンスが強い。

 

 これと異なり、襲名、世襲、踏襲のように、「襲」の字を使うにも関わらず、「おそう」とは全く意味の違う言葉もある。

 実は襲の字は、「衣」が示すように、本来は「衣服を重ねる」ことを意味する漢字。和服を重ねる時の色合いをいう「襲(かさね)の色目」にその意味が残る。ここから転じて世襲や襲名のように、「前のものをそのまま引き継ぐ」ことを表している。

 

 歌舞伎や落語など、二代目襲名は、引き継ぐ方も大変だが、国会議員のような世襲のケースはあまりよろしくない。国会議員は上流階級であり、その息子が世襲しても庶民感覚がわからないという意見も多い。小泉進次郎を見ていれば、まさにそうかと感じさせる。

 

 日曜日の唯一の娯楽番組笑点では、林家三平が降板した。三平も偉大な父を世襲し、二代目三平として頑張ってはいるが、どうしても偉大な父親と比較されてしまう。初代の三平を知る人も少なくなったが、国民的落語家として一世を風靡した初代三平を引き継ぐのは大変なこと。笑点を降板したのも、笑点人気や親の威光にあやかるのではなく、高座で自ら芸を磨いていく決意の現れなのかもしれない。その点、比較しては申し訳ないが、今の六代目三遊亭円楽は、先代からうまく引き継いで持ち味を出していると思う。

 

 いづれにしても日常生活においては、「襲」の字との付き合いはないことを祈りたい。

 

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ホームスチールは奇襲攻撃