笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字859は「葉」。無くなりつつある言葉を探してみよう

今日の漢字は「葉」。中葉、最後の一葉、畑中葉子

 


   無くなりつつある言葉を探してみた。

 


   「永久就職」。昭和の時代は、結婚して専業主婦になるのが当たり前だった。サラリーマンの給料は右肩上がり。多くのサラリーマンは、自分の会社が未来永劫成長すると信じて疑わなかった。昭和から平成初期にかけて、結婚して専業主婦になることが「永久就職」と言われ、夫の給料だけで生活できる花嫁は、周りから羨ましがられた。それがバブル崩壊、低成長時代となり、いつしか夫の給料だけでは食べていけなくなった。女性の社会進出も活発となり、結婚・出産しても働く女性が普通となった。

    私がいた職場のOLさんたちも、多くが永久就職と称して会社を退職していったが、今なら、「永久就職なんて大丈夫?」と心配する時代。夫だっていつリストラされるかわからない。保険をかける意味でも、女性が働き続けるのは当たり前なのだ。今なら専業主婦ができるのは、プロ野球選手(里田まい)、俳優(堀北真希)、実業家(伊東美咲)の妻くらいしかみかけない、絶滅危惧種である。

 


   「漫才師」。正統派の漫才師が少なくなった。というか、厳密に漫才だけで食べていく、その専門性が曖昧になった。「師」とつくくらいだから、後進の見本となったり、手ほどきや指導をして若手を育てる立場なのだろうが、今の漫才師はちょっと売れるとバラエティ番組のひな壇芸人に転職する。落語のように演芸として舞台に上がり、生でお客さんを楽しませるはずの漫才師が、今やレベルダウンしたお笑い芸人に成り下がり、「芸の無い雑談」で食っている。西川きよし横山やすしのように、年季の入った正統派漫才を見る機会が少なくなったのは寂しい限り。唯一正統派漫才を貫く意思が感じられるのはナイツ。いつまで「ヤホー」を続けるかわからないが、ひな壇芸人でアルバイトをすることなく、漫才師として舞台で輝き続けてほしいと願う。

 


    「下駄箱」。松山千春の「恋」の歌詞に、「カギはいつもの下駄箱の中」というフレーズがあるが、そもそも下駄という履物自体をみかけなくなった。銭湯や居酒屋などに行くと、木の札でカギをかける下駄箱があるが、木のぬくもり感では「下駄箱」という名称がふさわしいが、スーパー銭湯で100円玉を入れてスチール式の箱に靴を入れる場合はもはや「靴箱」である。小学校はいまだに下駄箱なのだろうか。それとも靴箱か、はたまたシューズボックスか。考えてみれば、下駄が織りなす「カランカラン」という音はこの世から消えた。せいぜい残るのは、温泉街で名湯を浴衣と下駄で歩く時くらいか。私がまだ大学生だった頃は、下駄を履いて銭湯に通っていた輩がいた。この文章を書きながら、下駄箱という言葉とともに、あのカランカランと奏でる軽快な音がこの世から無くなってしまったことに、大いに寂しさを感じるのである。

 

    無くなった言葉もあれば、無くなった音もある。今度は、無くなった音をテーマに書いてみよう。

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観葉植物を育ててみたい