笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字407は「魂」。大和魂と吉田松陰について考える

今日の漢字は「魂」。鎮魂、闘魂、魂胆、霊魂、一球入魂、商魂逞しい、人魂。

 

    吉田松陰の辞世言葉「身はたとひ 武蔵の野辺に 朽ちぬとも 留め置かまし大和魂

 

     松陰が松下村塾の門下生にあてたこのメッセージは、「私が亡き後も、日本人としてアイデンティティーをもってしっかり行動せよ。外国人などに負けるな」というメッセージがこめられているような気がする。

 

    安政の大獄という悪政の犠牲となり、志半ばで倒れた吉田松陰の意思は、高杉晋作伊藤博文などの門下生にしっかりと引き継がれ、倒幕、明治維新へとつながっていく。

 

    吉田松陰の偉業は書物などでし知らなかったが、現実的に彼の偉大さを象徴する出来事は、家族で山口県萩に旅行した時のこと。

   

    前日に秋芳洞などを見て夕方萩市に入り、中心部のホテルに宿泊。翌日は福岡から札幌に戻る予定であったため、午前中しか萩市内観光の時間がなく、訪問先を思料していたところ、ホテル側が用意したバスで市内の武家屋敷を1時間ほどで巡る無料案内があり、それに参加した。

 

    その時に観光ガイドをしてくれたのが、かなり高齢のおじいちゃんボランティア。最初は大丈夫かと危惧していたが、とにかく萩、とりわけ吉田松陰への思い入れが人一倍強い、熱弁をふる老師のような人だった。

 

    彼の語りに感じたのは、日本海の辺鄙な土地に押し込められた維新の武人たちが、日本を変えようと立ち上がり、そして薩長同盟として日本を根本から改革したこと、萩藩が誇るスーパー偉人の吉田松陰の大いなる功績を高く崇拝、評価していること。国家の大改革がここ萩から始まった、いわば萩人の末裔としてのプライドがそこかしこに見て取れた。

    おじいちゃんボランティなので語りは決して上手とは言えず、たどたどしいのは仕方がないとしても、萩藩と吉田松陰の思いには尋常ではない熱さが感じられた。吉田松陰の魂がそのおじいちゃんに乗り移り、松陰の思いをあたかも代弁しているかのようでもあり、また萩藩の武人の偉業を後世まで引き継ごうとする迫力に満ちた解説であった。

 

    その後、松陰が開校した松下村塾に行ってみた。こちらは小ぶりのあばら屋でびっくりした。10人も入れば満員になるくらいの小さな掘っ立て小屋で、よくこのような狭い家で勉学に励めたものだと感心した。資料によれば8畳一室。その後塾生が増えたため、10畳半に増築されたという。久坂玄瑞高杉晋作らは、吉田松陰の教えを学び、遺志を継いで活躍した。

    萩を訪れたことで、歴史の重み、明治の原点が垣間見れ、大変勉強になった旅行であった。

 

    ○○魂は、警察魂、報道魂、医者魂、教師魂など、職業につけていう場合が多いが、その魂は先輩から後輩への指導や教育、言葉の伝承や経験を積むことで免許皆伝のごとく連綿と引き継がれていく。大和魂は、今やスポーツシーンくらいにしか使われなくなったが、大和魂=あきらめない気持ち、真面目に努力する気持ち、自分を捨ててでも大義を守るという気持ちの代名詞だが、それは松蔭の時代だけでなく、以前から日本人に備わった気質であり、現代人にもそのDNAは着実に受け継がれていると信じたい。

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新日本プロレス闘魂三銃士も今や懐かしい響き