今日の漢字259
今日の漢字は「智」。叡智、天智天皇、上智大学、智弁学園、智頭急行、熊野那智大社、明智小五郎、山下智久、山口智子。
NHK大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公は明智光秀。近年の大河ドラマで取りあげられる戦国武将は、上杉謙信(天地人)、黒田官兵衛(軍師官兵衛)、真田幸村(真田丸)と、比較的渋目というか、地味な武将が多く、今回も「キングオブ地味」な明智。しかし武将の知名度や人気度ではなく、しっかりとした歴史絵巻を魅せると意気込むNHKには、チャレンジングな姿勢を感じる。
日本史上の大事件のベスト10に入るであろう本能寺の変が、なぜ起きたのかは、諸説があって未だに解明されていない。視聴者は、このドラマで、明智光秀が本能寺の変を企てた意図が明確に再現されることを期待する。その期待に応えられるストーリーを構築できるか。全てはそこにかかっていると思われる。いわば織田信長の家臣となってからの生きざまが一番の見所となっていく。
家臣が当主を殺害する下克上は頻繁にあったが、天下人がひっくり返った本能寺の変は、池井戸小説もびっくりのドラマ性がある。今のサラリーマン社会に例えると、ワンマンのトンデモ総理の織田信長に、大臣の明智光秀が鉄拳制裁を加えて首相の座から引きずり下ろす政権交代の戦国版。その謀反が、明智の身悶えするほどの苦悩と決意、また、緻密な計算や情報の分析の上に成し遂げられたことが、「明智の気持ちもわからんではない」という共感につながっている。僅か12日間だけの天下人で終わった、地味ながらも歴史に燦然と名を残す明智光秀が、ドラマでどう描かれるのか、今から楽しみである。