笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字1032は「浪」。時間の浪費に気づこう

今日の漢字は「浪」。放浪、浪人、流浪、浮浪、波浪警報。

 

 お金は取り戻せるが、時間は取り戻せない。人間は、意外とこの事実に気が付かない。なぜそうなるかと言うと、時間は無形で目に見えないために、ほとんど無価値と思われているから。お金は浪費してもまた稼ぐことができるが、過ぎ去った過去はもう戻らないし、戻せない。

 

 それを考えさせられたのは、帝政ローマ時代の哲学者セネカによる「生の短さについて」のフレーズ。

 

 「我々にはわずかな時間しかないのではなく、多くの時間を浪費するのである。人間の生は、全体を立派に活用すれば、十分に長く、偉大なことを完遂できるように潤沢に与えられている。」

 十分に潤沢に時間があると勘違いするからこそ、知らず知らずのうちに無駄に時間を浪費してしまう。

 

 「時間を買う」という発想がある。移動に時間がかかる電車を使わずタクシーを使う。新幹線はひかりではなく、のぞみを使う。家に帰って料理をせずにテイクアウトで済ませるなど。時間がかかって煩わしく、一見不効率なものには、お金をかけることによって時間を短縮し、有効活用しようとする。しかし、せっかく家事の時間を短縮しても、そのあと延々とテレビゲームに興じてしまう。なぜかそこに「時間を無駄にしている」意識はない。セネカが指摘する「多くの時間を浪費する」ことにつながる。そこに意識が向くか向かないかで、今後の生き方は大きく変わってくる。

 

 さらに、これまた意外に気づかないのが、自分の時間だけではなく、他人の時間を浪費させているケースもしばしばあるということ。

 セネカは、「私は、常に人に時間を貸せと求める者がおり、求められる方も、いとも簡単に時間を貸し与えているのを見て、驚きの念を禁じ得ない」という。

 

 時間の貸し借りで典型的なのは、「長い会議」。以前、私の会社では、トヨタ式「カイゼン」を取り入れるべく、「会議の時間は1時間。その中で効率よく議論する」と、会議1時間ルールを強制導入。最初はうまくいっていたが、コロナでWEB会議が当たり前になると、いつの間にかこのルールも形骸化。相変わらずだらだらと2時間は平気で会議をやっている。これは人の仕事の時間を奪っていることに他ならない。ある会社では、ダラダラ会議をなくすべく、椅子を取っ払って立って会議をするようになった。そうなると長時間の立ち会議はしんどいので、自然と時間は短くなったという。時間の重要さを認識したカイゼンだと思う。

 

 常に「忙しい。時間がない」と嘆く前に、本当に時間は捻出できないのか、無駄な時間がないのかを、分刻みで「見える化」してみる手もある。客観的に見れば必ず無駄な時間は見えてくる。さらに、相手に「10分だけいいですか」と求めた場合は、話を10分で切り上げる。「この人の時間を奪っていないか?」と、冷静に判断することも大事であると思う。

 

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浪商と言えばドカベン香川