今日の漢字1026は「室」。娯楽は個室化していく
今日の漢字は「室」。別室、密室、室内、病室、皇室、室町時代、室蘭市。
今の娯楽の傾向は、大衆から個人への移行だと思う。その実例を上げよう。
ひとつはカラオケボックス。カラオケが始まったのは、繁華街のスナック。お店ではカラオケの曲が店内に鳴り響き、酔客が気持ちよく歌い、関係のないお客もその歌を聞くともなく聞かされるシチュエーションが展開された。それが、コンテナ仕様のカラオケボックスが開発されたのを機に、あっという間に全国に広がり、個人が気軽に個室でカラオケを楽しめる環境になった。
もうひとつはゲームセンター。家庭用ゲーム機が出る前は、アーケードゲームという業務用のゲーム機が置かれていたゲームセンターに行くしかなかった。私はスペースインベーダーにハマりにハマった。しかも1回100円を払い、クリアできない場合は何百円も投入する散財をしていた。その後、任天堂ファミリーコンピューターが発売され、家庭、いわゆる個人でのゲームが当たり前になった。いくら途中でゲームオーバーしても無料でゲームをやり直せるファミコンは「夢のゲーム機」と思ったものだ。
個室の漫画喫茶。喫茶店は昭和の時代から繁栄を極めたが、店内はオープンなスペースで、お客は各テーブルで新聞や雑誌や漫画やゲームなどに興じた。それがいつしか個室式の漫画喫茶が登場し、誰にも邪魔されずに静かに一人楽しむスタイルが定着した。
このように、多くの娯楽の楽しみ方の流れは、オープンな大衆仕様から、クローズされた個室や個人で一人ひとりが楽しむ仕様に変わってきた。
それでは、これからさらに大衆から個室に移行する娯楽はあるだろうか。
私が予測するに、映画館の個室化の潜在ニーズがあるのではないかと思っている。
映画は漫画喫茶でも見られるし、家でもサブスクリプションで気兼ねなく映画が見られる。しかし新作映画をひとりや、カップル専用で映画館貸し切り状態で見たい需要は確実にあると見ている。少し値段が高かったとしても、マイプライベートシアターは魅力。ミニシアターではそのニーズを汲み取れると思う。
お次は、ボウリング場。ここも大衆仕様。ボウリングであまり気分が良くないのが、2レーンでボールを利用すること。対面のお客がカップルだったりすると、気になって仕方がない。そんなプチストレスを解消するのが、個室ボウリング。誰にも見られず、1レーン貸し切りだと気が楽。同様に個室ビリヤード。ゲームに集中できそうだ。個人が気兼ねなくゲームをしたい需要の掘り起こしという観点からも、その施策がいつか実現するのではないかと思う。
「えっ、こんなことが個人仕様?」と思いも至らぬ発明が、いつの間にか当たり前な
風景となる時代。そんな180度発想を変えることが新たなビジネスチャンスにつながることも事実なのである。