笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字997は「油」。失敗談は会話の潤滑油

今日の漢字は「油」。石油、醤油、鯨油、油断、油壺。

 

 百田尚樹氏は、「失敗談ほど面白いものはない」と言う。確かに雑談でも、蘊蓄を滔々と語られたり、自慢話を延々と聞かされても面白くない。しかしこれが失敗談だと、周りの聞き役は話にのめり込んでくるし、場が一気に盛り上がる。後悔ばかりでとても人に話せないような失敗談は、お墓に持っていくしか無いが、笑って済ませられる失敗談なら、会話の潤滑油になっていい。そんな失敗談。

 

 エレベーターの密室での放屁の話は第936回で書いたが、強烈な放屁体験はまだある。それは学生時代。京都駅から自分の下宿に戻ろうと電車に乗った。席は全部埋まっていたので、デッキに立って1人発車を待つ。当時の電車はロングシートではなく、風除室があるタイプ。いわば特急電車や新幹線の仕様。そうこうするうち私には大便気配が漂い始め、デッキに誰も乗ってこないことや、風除室と客室はドアで遮断されていることを確認して放屁した。意外にも結構な音とともに肛門から吐き出された匂いは、予想に反して強烈。「んーやばい。匂うなー。でも誰も乗ってこないから大丈夫だろう」と高を括っていた。しかしその5秒後、おばさんがひょいと乗り込んできた。おばさんは座席が既に埋まっていることからデッキに立ち、速攻、漂う匂いにすぐ気づいた。しかし私も場所を移動できずに佇むばかり。おばさんは「こいつ、屁したな」とこちらをじろりと見るが私は視線を合わせられない。しかも匂いは一向に衰える気配はない。おばさんと対峙すること約1分。おばさんはあまりの匂いの強烈さに耐えきれず、痺れを切らし、ついに電車から降りて別の車両へ移っていった。

 

 私はほっと胸を撫で下ろしたが、床に座り込みたくなった。電車という公共の場で放屁したことを大いに反省するとともに、よほどひどい匂いだったのだと、我ながら呆れつつも笑ってしまった。おばさんには申し訳ないことをしたと自戒したが、今なら笑えるから許す。

 

 これは強烈に印象に残った話でもあり、数少ない私の笑い話の鉄板ネタでもある。他にも、娘の幼稚園のお遊戯のビデオに誤って友人から借りてきたエロビデオをダビングで上書きし、カミさんから思い切り怒られたり、外出中に大便をもよおし、公園のトイレを探すも見つからず、やむにやまれず、公園で野糞したことなど、さまざまな失敗談が思い出される。

 

 百田尚樹氏は、大便のトイレでズボンが下ろせずにそのままウンコがズボンに入り込み、脱糞まみれになったとの失敗談を述べていたが、得てして下ネタと失敗談は親和性が高い。しかもなぜかその行動の記憶が鮮明に残っているからたちが悪い。笑える反面、記憶から抹殺したくても消せない黒歴史なのである。

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鳶に油揚げをさらわれる