今日の漢字985は「造」。工場の製造コストは上がる一方
今日の漢字は「造」。建造、造船、捏造、構造、鋳造、原田泰造。
昨日(984号)の話の続き。我が家のリフォームの営業マンとの会話。
営業マン「最近はボイラーや電気温水器が壊れても、部品がなかなか入ってこなくて、修理に2〜3ケ月かかることがざらなんですよ」
私「何で修理にそんなにかかるのですか」
営「部品の一部をベトナムの工場で作っているのですが、コロナのロックダウンで工場が閉鎖。なので部品が入ってこないんです。日本の製造工場は余裕があっても、部品が無いから作れないんです」
私「灯油やガスボイラーが壊れたら、お風呂に入れないんじゃないですか」
営「お風呂はアウトです。私の担当するお客さんは、ボイラーが壊れてしまい、ずっとスーパー銭湯を利用しているようです」
私「部品1つが入ってこなくても駄目ですか」
営「日本のメーカーに急に作れと言っても作れません。お客さんには申し訳ないですが、待っていただくしかないのです」
海外に工場が移転して生産することは、今や一般的なビジネスモデルとなった。
日本のメーカーは現地の安い労働力と土地代で部品を安価に製造し、競争に打ち勝ってきた。しかし、予想外のコロナ禍で、海外に生産拠点がある企業の部品は軒並み停滞している。
先日も新聞で、ロードバイクやクロスバイクなどの自転車も部品が入ってこず、納品まで数ヶ月かかるという記事を見た。コロナ禍から、アウトドアで楽しむ需要増が背景にあるが、せっかくのビジネスチャンスも、製造が停滞するという負の連鎖で売り時を逃している。オミクロン株が世界中で猛威を奮えば、さまざまな製品の納品が停滞する事態が続くだろう。我が家のボイラーも相当経過しており、故障しないかとビクビクしている。
営業マンとの会話は続く。
営「台所のリフォームもそろそろというご家庭も多いのですが、大手メーカーは原油や電気料金の高騰で、製品の定価を上げると通告してきました。大手メーカーが値上げすれば、中堅メーカーも追随するでしょうから、リフォームも今よりはお金がかかるかもしれません」
確かに原油や電気・ガス料金の高騰は製造コストにも跳ね返る。エネルギーコストが上がるということは、すなわち日々生活する費用も上がるわけで、いろいろなところにしわ寄せがくる。そもそも原油の高騰は、コロナ後の生産活動の活発化に由来するから、結局は資源争奪戦のしわよせが消費者に及ぶのである。
今後、中国やインド、アフリカ諸国の経済成長が急激に伸びれば、イコール資源争奪戦になる。さまざまなエネルギーコストが上がり、世界各国の生活コストが上昇し、悲鳴を上げることになりかねない。そういう意味では原子力や再生可能エネルギーなど、自国で完結するエネルギー源をより高めておくことは理にかなっている。
工場の製造もエネルギーも自国で完結するのが理想であるが、自国で賄うということは、それだけコストアップにつながる。エネルギーも原子力と再生可能エネルギーだけで賄うことは無理。安い国の工場で製造するというパンドラの箱を開けてしまった今においては、有力な処方箋は見つからないのが実態である。