笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字976は「符」。お笑い界は芸人切符を発行しすぎ

今日の漢字は「符」。符号、疑問符、終止符、免罪符。

 

「人生に大切なことは全部フジテレビで学んだ」(吉田正樹)では、今のお笑いブームは「お笑いブーム」ではなく「芸人ブーム」だという。

 

 そもそも芸人の数が多すぎる。お笑い界は、芸人という切符を多くの人に発行しすぎて、芸人バブルになっている。昔は少ない芸人でひとつの番組を回せたが、今は8〜10組くらい出ないと番組がもたないと指摘する。

 そうなると、一人ひとりの芸人の価値が低くなり、多くの芸人が番組に出ることで番組価値を成り立たせているのだという。

 

 確かに指摘の通り、昔はひとつの番組に出る芸人の数は少なかった。例えば「とんねるずのみなさんのおかげでした」は、ほぼとんねるずしか出ていなかった。またウッチャンナンチャンの、「めちゃめちゃいけてる」も芸人はよゐこやたんぽぽくらいしかいなかった。だから当時はひと組の芸人の存在感が光っていた。しかし今はトーク番組が全盛で、一体どれだけの芸人が出るかというくらい多くの芸人が出て、各自が必死にPRしている。

 

 そして今やどのチャンネルもトーク番組のオンパレード。以前は「とんねるず・・」や「8時だよ全員集合」、「俺たちひょうきん族」、「志村けんのバカ殿」のように、コント番組が多かった。つまりコントを芸人が演じることでお茶の間の笑いをとる時代が長く続いていた。

 

 それがいつの間にかコント番組は激減。今、コントが見られるのは、「エンタの神様」くらい。コント番組が視聴者に受けなくなったのか。それとも演出などの仕込みに時間がかかって大変なのか。もしくはコントには美術のセットが必要だから、制作費がかかるのか。逆にトーク番組は出演者さえいれば番組が成り立つから、制作費は安く済むし、芸人はたくさん出られて顔が売れ、視聴率もそこそこ取れる。そんな事情で、仕込みに面倒なコント番組が減り、トーク番組が幅をきかせているような気がする。

 

 そうなると、芸人は本来自分が目指した漫才やコントに磨きをかけるのではなく、トークに磨きをかけていく。しかしそれは芸とは言わない。売れた芸人も次第に芸を披露することを辞め、トークのうまいマルチタレント化していく。吉田氏は、「今のM-1グランプリは、おもしろい漫才を評価するのではなく、一気に世間に認知されて活躍する芸人を選ぶコンテストと化している」と嘆く。

 

 売れれば売れるほど芸から遠ざかる。チュートリアルネプチューン爆笑問題。彼らの芸を最近見たことがない。芸人はそうして売れることによって、逆に芸人ではなくなり、トークのうまい一般タレントに成り下がる逆転現象となっている。そしてそれは結果的に、芸人のひとりひとりの価値を下げることにつながると思うのである。

 

f:id:laughing-egao:20220118200136j:plain

音符は全く読めない