笑顔漢字日記

全ての漢字を笑顔にしたい。そんな思いで常用漢字2136文字を目標にエッセイを書く無謀な北海道在住のアラ還オヤジ

今日の漢字965は「伎」。歌舞伎から出た言葉とは

今日の漢字は「伎」。歌舞伎しかほぼ使わない伎。ちなみにこの伎は、「人の持つ能力」を表す。

 

歌舞伎から出た言葉について調べた。

「十八番」

 得意の芸、得意とする物事。これを「おはこ」と呼ばせるのは、外国人泣かせ。完全に当て字である。

 例文は、カラオケでの得意曲。「課長の十八番はサザンなんだよねー」「部長の十八番、槇原でも行きますか」。歌舞伎の芸から派生したはずだが、現代ではカラオケ曲のお披露目時にしか使わない。ピアノ曲の十八番、バイオリンの十八番もあっていいはずだが、そんなハイソな趣味を披露する機会がない。なんだか、大きく庶民的にレベルダウンしている言葉である。

 

助六寿司」

 歌舞伎の演目「助六」に由来する。いなり寿司と海苔巻のコラボレーション。歌舞伎の主人公の名前は「助六」。助六の愛人は吉原の花魁で、その名を『揚巻(あげまき)』という。『揚巻』の『揚』を油揚げの『いなり寿司』、『巻き』を海苔で巻いた『巻き寿司』になぞらえて、この二つを詰め合わせたものを『助六寿司』と呼ぶようになった。

 

「千両役者」

 芸能やスポーツなどで、際立った活躍をして周囲を魅了する人を「千両役者」と呼ぶ。これは江戸時代に人気を博した歌舞伎役者の収入に由来。給金が「千両」を越えたことに由来する。今なら1億円プレーヤーか。

紅白歌合戦のトリを務めるのは、郷ひろみ。いよいよ千両役者の登場だ」

 

「どんでん返し」

 小説や映画などで、読者や観客の予想を大きく裏切る展開。ストーリーを根底から覆す結末をいう。この言葉で思い出すのは、カップリング番組「ねるとん紅鯨団」の石橋貴明の叫び。告白タイムで当然カップルになるであろうと思われた女性が選んだのは、予想と全く違う、フリータイムで話をしたこともない男。しかもこれがカップル成立という驚天動地の展開に、貴明の「だい、どんでんがえし」が炸裂。その瞬間、視聴率は大きく跳ね上がったことだろう。

 歌舞伎では、背景の大道具を後ろに倒し、別の絵が出てくることで、一瞬で次の場面に変わるシーンをさす。

 

「黒幕」

 表面に出ないで、裏から指図をしたり陰謀を企てる影の支配者的な人物。これは歌舞伎で場面の変わり目に舞台を隠したり夜を表す背景に黒い色の幕を使うことから。ハリウッド仕立てのミステリー映画には、必ず出てくる黒幕。大物政治家が多いのがお約束の展開でもある。

「今回、あの候補が当選するなんてあり得ない。影には絶対黒幕がいるぜ。」

 

「大詰め」

 物事の最終局面や最後の段階を意味する。歌舞伎の演目では、江戸時代では歌舞伎は2部構成が一般的で、一部は時代物、二部は世話物が演じられていた。1部の最終演目は大詰め。2部は大切と呼ばれ、前者が現代の大詰めになっている。

「このプロジェクトは大詰めの段階だ。さらに気合を入れて成功に導こう」


 一瞬でも歌舞伎のことを想像しながらこれらの言葉を使うと、教養のある人に見られる可能性大。どしどし使おう。

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ザ・グレート・カブキが懐かしい